日本近海には美味しい魚がたくさん!
その中でも、トップクラスに美味しいことから、特に人気がある魚がいます。
例えばクロマグロ、マダイ、アカムツ(ノドグロ)、シマアジ、クエ、シロアマダイなどは、味の良さから高値で取引されています。
また、サンマ、マアジ、サーモン類、マイワシ、マサバなどは、味の良さと手頃な価格という点でとても人気がありますね。
ただし、魚の味わいは千差万別。
前述の魚たちの味わいを10とするならば、惜しくもそこに届かない魚がたくさんいます。
評価が9や8の魚。7や6の魚。5以下の魚。
では、そういう魚は評価が10の魚より劣っているから、食べる価値がないのかのかと言えば、そんなことはないと断言できます。
あっさりとした美味しさ、身の柔らかな美味しさ、野趣あふれる美味しさ。
そういった、種別の個性を感じながら、食べ分けることができるのも、魚を食べる楽しみのひとつなのではないでしょうか。
むきさめという食材
秋頃からスーパーで見かける食材の一つに、「むきさめ」というものがあります。
むきさめは、アブラツノザメというサメの皮を除去し、食べやすいように加工したものです。
白い縞模様の入った薄ピンク色の身は、特徴的な見た目ながら、魚の切り身としては違和感がありません。
しかし、「サメだから」という理由で、購入しない人も多いのではないでしょうか?
「サメって食べられるの?」っていう認識は、少なからずあるようです。
東北では結構な頻度で見かける食材ですが、私も実家にいた頃は一度も口にしたことがありませんでした。
ただ、むきさめは非常に調理しやすい食材です。
身には全くといっていいほど癖がなく、加熱することでふわふわの食感が楽しめます。
サメの骨はすべて軟骨なので、骨がわずらわしいということもありません。
おまけに、価格もお手頃。今回購入した際は、3切れで200円くらいでした。
これは購入して楽しむしかない。
煮つけが有名だけど...
むきさめのパックを手に取ると、表面に張られたシールに「煮魚に」と書かれているのをよく目にします。
煮つけた身は柔らかく、しょうゆとみりんで作った煮汁を含むと実に味わい深い。
コラーゲンを多く含み、冷やすとしっかりとした煮凝りができるので、これもまた旨い。
ただ、ですね。
むきさめに使うアブラツノザメは、その名に「アブラ」がつくものの、身にたっぷりの脂が含まれているのかといえば、そうではありません。
(※ほかのサメ類と比べた場合に脂が多いため、その名がついたとされています。)
そのため、煮つけはとてもたんぱくな味わい。
物足りなさを感じる人も少なくないかもしれません。
なので、今回は油を使った調理もやってみたいと思います。
たんぱくな味わいは、脂を補うことで食べやすくなりますからね。
油を使ったサメ料理としては、真っ先にフライが思いつきます。
大振りのサメフライに、ソースかタルタルをつけて、豪快にかぶりつく。
これが最高に美味いです。
あとは、すり身にしてナゲットにしてもいいですね。
あまりの美味しさ、食べやすさに、作ると一瞬でなくなってしまいます。
ただ、ですね。
揚げ物は後処理が面倒...という点が否めないですよね。
すごくよくわかります。(私も今回、そういう思いで台所に立ちました。)
なので、今回は揚げ物はやめておきましょう。(やめさせてください。)
ムニエルにしてみよう
ならば、オイルソテーかムニエルにしてみよう! というのが今回の趣旨です。
これなら後片付けも楽でいいですね。
むきさめの身に下味をつけて、そのままオリーブオイルでソテーすれば充分においしいのですが、今回は小麦粉をはたいてムニエルにしてみます。
表面を小麦粉でコーティングして、カリッと焼きたいところ。
カリッと焼いたのち、最後にバター(なかったので今回はマーガリン)とパセリを加えて、よくからませます。
こうしてできたのがこちら!
おー! これは美味しい!
むきさめのたんぱくな味わいに、濃厚なバターソースが絡んで、相乗効果は抜群。
表面がカリッとしているのに対し、中の身はしっとりと水分が含まれたまま、ふわふわとした食感を保っています。
臭みなどは全くなし。
ここに白ワインがあればよくなじむことでしょうし、バケットがあればなおよし、といったところでしょうか。
ただ、どちらも家になかったので、今回はここに白飯とみそ汁がつきます。
むきさめのムニエル定食、大変美味しゅうございました!(ごはんはおかわりしました。)
美味しいむきさめ、活用する価値あり!
こうして大満足の夕食になりました。
むきさめを使った料理、久々に食べましたが、やはり美味かったですね。
煮つけを食べた後だとムニエルが恋しくなり、ムニエルを食べた後だと煮つけが恋しくなります。
おそらくは突出した美味しさを持つ魚ではないような気がするのですが、この味わい深さには、他に代えがたい、なんとも言えない良さがあります。
こういう魚をじっくり味わって、「うまいなあ」って思える時間は良いものですね。
サメ類だと、アブラツノザメ以外に「モウカザメ(ネズミザメ)」が売られている頻度が高いように思います。
こちらも美味しいサメなので、上手に活用したいところ。
むきさめを購入し始めた当初は、毎回のように変わり種食材を買っている気持ちになりました。
「サメで白飯を食べる」っていうことに、なんだか違和感を感じていたのです。
ただ、食べ続けていくうちに、その違和感はなくなりました。
上質な身をしていて使いやすい、おいしい魚です。
ぜひ皆さんも、見かけたらご賞味いただければと思います!
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