人生で初めてカサゴを食べました(調理編)

日記
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購入編については、以下の記事よりご確認ください。


東北ではあまりなじみのないカサゴ。

売られていてもデパ地下でいいお値段、ということがほとんどなので、なかなか手を出せずにいました。

カサゴとは対照的に、東北の市場では、かなりの頻度でソイの姿を見ることができます。

クロソイ、ムラソイ、キツネメバル(マゾイ)、タケノコメバル(ベッコウゾイ)...

ソイは北に行くほど出会いやすくなる魚で、東北の海でも多く漁獲されています。

比較的安価で美味しい魚として、スーパーなどでも目にする機会が少なくありません。

ソイとカサゴは姿が似ていることもあり、今回のカサゴはソイと混同して売られてしまっていたようでした。

ありがたくいただきたいと思います。

カサゴとムラソイを見比べてみる

あらためて、2匹で358円(税抜)って安いな

今回購入したパックに入っていた魚は、上からカサゴ、ムラソイの2種。

調理の前に、まずは両者を見比べてみましょう。

カサゴが家のまな板に載っているという事実が、すでにうれしい

まずはカサゴから。

全体的に赤みがかった体色。

ソイ類は黒や茶色をベースにした体色のものが多いため、まずはこの赤い体色で見分けることができます。
(※余談ですが、東北の海にはヨロイメバルという魚がいて、この魚は赤みがかった体色をしているため、よくカサゴと間違われがちです。)

また、体表には白い斑点模様があるのも特徴的。

尾びれが角ばっているところも、見分ける際のポイントとなります。

実は、ムラソイを購入して食べるのは、もう10年ぶりくらいになる

続いてムラソイ。

ムラソイは個体によって体色に差があるものの、茶色や黒、褐色をベースとした色合いをしています。
(赤っぽい個体もいますが、カサゴほど明らかには赤くありません。)

斑点は黒っぽい色をしています。

尾びれの形状は、カサゴと比べると丸っこい印象があります。


こうやって、2種を並べて置くと見比べやすく、違いも分かりやすいですが、釣り場でパッと見たときに見間違えやすいというのは、なんだかよくわかるような気がします。

調理法はどうするべきか?

観察が終わったところで、下処理に取りかかりましょう。

うろこを引き、今回は頭はつけたまま、内臓とエラだけ除去することにします。

メバルやカサゴ、ソイといったカサゴ亜目の魚たちは、大抵が大きくて骨ばった頭や固い骨を有しています。

この頭や骨からいい出汁が出るので、せっかくならそれを生かした調理がいいかも。

よし。煮つけるか。定番だけど。

基本的に、初めて会った魚は、なるべくシンプルな方法で食べたいと思っています。

ただ、カサゴに関しては、こってりと甘辛く味付けした煮つけの写真を、これまでに散々見てきたという背景がありました。

濃い味付けでのカサゴの煮つけに、憧れがあったのです。

なので、魚の味わいが損なわれないことを信じて、今回はどちらもこってりと煮つけてみることにしました。

どう出るか?

カサゴとムラソイの煮つけを食べ比べる

お鍋に昆布と水を入れて出汁を取り、お酒、しょうゆ、みりん、砂糖、ショウガも入れて煮汁にします。

そこにした処理を終えたカサゴとムラソイを入れ、ある程度煮つけたら火を止め、少し冷まします。

こうすることで、味が浸透してくれるはず。

お皿に盛り付けると、こんな感じです。

さすがに1人では食べきれないので妻とシェアしました

上がムラソイ、下がカサゴです。
(パックに並んでいた順序と逆の盛りつけになってしまいました。わかりにくくなってすみません。)

こうして調理されたものを見ると、どちらも頭が大きい魚であることがよくわかります。

きっと、よい出汁が出ていることでしょう。

まずはムラソイから。

箸を入れて真っ先に感じたのは、皮のもちもちとした弾力。

皮は結構分厚いようです。

身はよく締まっており、淡泊な美味しさがありますが、ヒレの周囲などはよく脂が乗っています。

とても美味しい。

ただ、美味しいのですが、煮つけが一番の調理法なのかといったら、個人的にはそうではないように感じました。

煮付けた際に、身が固く締まりすぎているような気がする。

こういう魚は煮つけるよりも、汁物にした方が私は好きです。

鍋みたいに煮立ててポン酢で食べたら、もっと持ち味が生かせたかも。

そうすれば、皮の美味しさや、よい出汁の味わいもさらに楽しめそうです。

煮つけが100点だとしたら、汁物は120点くらいを叩き出せたかもしれない。

もちろん、煮つけの味は悪くはなかったし、後悔もないけれど。

一方でカサゴはどうなのか?

皮はムラソイほど厚くはなく、箸を入れるとすっと切れます。

身は適度にほぐれるので、そこに味が染み込んでいく。

脂の乗りも適度でちょうどよく、味わいの癖も穏やかで食べ進めやすい。

煮つけにしたときのバランスが素晴らしく、煮汁と魚の旨さが調和し、一体化しているように思う。

濃い煮汁の味に、魚の味が負けそうな気配は、微塵も感じられない。

なるほど。煮つけが代表的な食べ方とされているのは、そのためだったのか!

パッと頭に浮かんだのは、キンキの煮つけの味わい。

皮の質感に違和感がないことや、煮汁とよく調和しながらも、魚本来の美味しさが損なわれないことが、煮つけには大事なのかも? と思ったり。

キンキほど脂の味わいに比重を置いているわけではないですが、脂の旨さとよく締まった身の旨さを楽しめることから、カサゴは煮つけ用の魚として非常に優秀と言えるでしょう。

間違いなく、煮つけることで120点、いや、150点くらいを叩き出しているように思います。

実に美味かった...!

余った煮汁も最後まで楽しもう

さて、こうしてカサゴとムラソイの煮つけを食べ終えたわけですが、お鍋には煮汁がまだ少し残っています。

煮汁には、魚の出汁が溶けだしていますので、これを活用しない手はない。

煮汁の活用法は様々ありますが、煮こごりを作るのは一番簡単かもしれません。

タッパーなどの容器に煮汁(と食べ残した身)を入れて、冷蔵庫で冷やすだけ。

魚の皮や骨から出たゼラチン質により、冷やした煮汁が固まります。

これを適当に切ってから熱々ご飯の上に載せて、溶かしながら食べると最高。

または、煮汁でおからを炊くのも美味しい活用法です。

ご飯のおかずにもなりますし、お酒に合わせてもいいですね。

ただ、今回は煮汁があまり残りませんでした。

調味料をケチってしまいまして...。

なので、煮こごりやおからでは少量過ぎてあまり楽しめなさそう。

そんなときは、「骨湯(こつゆ)」にしましょう。

食べ残した頭や骨を器に入れ、そこに煮汁を少し入れてから、熱湯を注ぎます。

煮汁がちょうどいい塩梅に薄まり、頭や骨、食べ残した身からはよい出汁が出ます。
(※ただし、今回は見た目が...だったので、写真は撮りませんでした。)

これがびっくりするほど美味しい!

出汁に溶けだした旨味の濃さに驚かされます。

頭や骨を箸で押すと、さらに出汁が抽出される。

いつまでも飲んでいられる、ホッとするような美味しさ。

煮つけを作った日の、最後の楽しみとしてうってつけでした。

カサゴ、そのうちまた会いたい

こうして、カサゴとムラソイを堪能しました。

実に美味かったな!

カサゴは美味しいという知識だけはいっちょ前に昔から持っていたのですが、その前提を頭の中に置いているうちに上がりきったハードルを、易々と越えてきた感じが、今回の煮つけにはありました。

カサゴは大きくても30cm前後の魚で、比較的小型の魚ではありますが、多くの釣り人が専門で狙う理由がよくわかったような気がします。

次に食べられるのはいつになることやら...。

その日を楽しみに待ちたいですし、チャンスがあれば絶対にものにしたい!

今はカサゴとムラソイに、最大級のお礼が言いたい気分でいっぱいです。

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