シマガツオの酸味を違和感なく食べるには?

日記
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前回の未利用魚セットを購入したのは5月。

届いたその日のうちにした処理を終わらせ、冷凍したものを少しずつ食べておりました。

少し前にストックがなくなったので、そろそろ購入したいところです。

今回は、前回購入した魚の中から1種、ご紹介したい魚の話です。

奇怪な見た目の深海魚

私は基本的に魚の見た目はどれも好きなのですが、中にはどうしても苦手意識を持ってしまうものもいます。

キャーーッ!!!

シマガツオはその中のひとつ。

図鑑では何度も見たことがありますが、実際に触るのはこれが初めてとなります。

ぎょろりとした大きな目、出っ張ったおでこ、鉄瓶のような体色、遊泳力が強そうなヒレ。

怖いって。海の中で出会ったら泣くって。

冷酷な殺し屋を連想してしまう。

そして、まな板に載せたときの威圧感がすごい。

よく見るとユーモラスな部分も多いんですけれどね...。

やっぱり怖いの方が勝ってしまうよ。

ならば早くさばいてしまおうと思い、まずはうろこを剝ぎ取ろうかと思いましたが、これが上手くいかない。

さばいてみて初めて知ったのですが、このシマガツオ、うろこの入り方がむちゃくちゃなのです。

特に、おなかに近いところには細長いうろこが入り組んでいて、うろこかきで何度もこそいでみたところで、これがびくともしません。

仕方なしに皮を剝いで使うことにしました。

今回の個体は40cmを優に超えていましたし、もともとが体高の高い魚なので身がたくさん取れます。

3枚おろしにしようと試みましたが、予定を変更して5枚におろしました。

体高がある魚は、5枚おろしの方が上手くさばける。気がする。気がするだけかもしれないけど。

食味のレビューで散々脅されてきた

5枚おろしが完了し、皮を引いた状態の大きな切り身が4枚取れました。

これは食べ応えがありそう!

なのですが、少々お待ちください。

シマガツオの食味を本やネットで検索すると、高確率で散々な言われようをしているのを目にします。

臭い、水っぽい、鉄っぽい。

シンプルにまずい、最悪、食べ物じゃないのような罵詈雑言も。

そして、多かったのが「酸っぱい」という声。

酸っぱい魚か。

これは...期待できますねえ。食べてみるしかない。

とりあえず、刺身状に3枚切り分けて、そのうちの1枚にしょうゆをつけて食べてみます。

ああ...うん。そうですよね。了解。

想像よりは酸っぱくないかな? いや、多少は酸っぱくはあるんだけど。

あ、でも酸っぱいわ。やっぱ酸っぱいよこれ。ああもう。というのが最初の感想。

そして、噛んでいると酸味とともに水分がどんどん出てきて、これが口の中に広がると変な感じがする。

まずそうに書いてしまいましたが、決してまずくて食べられないわけではないんです。

刺身として成立はしている。

ただ、前もって美味しくないという情報を得ていたせいか、水分と独特の風味に対する違和感が拭えない。

では、刺身ではなく、オイルで軽くソテーしてみたらどうか?

おっ、これは! ...あ、いや、うん。なんでもないっすわ。

食べやすくはなっていて、生で食べたときの独特の風味が軽減されている。

ソテーだと洋風の風味に仕上がり、酸味への違和感も少なくなったような。

ただ、焼くと表面がパサついて、中心部に閉じ込められた水分は健在という状況。

噛むとじゅわっと水分がほとばしって、これが絶妙に残念な感じ。

ダメではないんだけど、最適解なのかこれは? といった印象。

フライとかにしてもこの食感は変わらなそうだし、グリルでじっくりと焼いたら全体がパサパサになりそう。

ならば、ここは水分を使った調理の方がよさそうだ。

普通に甘辛く煮つけたら、違和感なく食べられるかもしれない。

でも、その保証はないんだよな。

酸味があだとなって、「食べられるけど...」みたいな感想になりかねない。

成功の道筋が見える方法で調理したいけど...

そうだ。

酸味があっても違和感ない料理に仕立てればいいんだ

話は少し変わります。

スーパーの鮮魚コーナーで売られている魚のアラ。

あの中には宝物がたくさん眠っていて、特にマグロのアラは安くて食べ出があります。

血合いの部分をステーキにしてわさび醤油で食べるのが好きですが、他にもよく作る料理があります。

それはオイル煮。または水煮。要は、お手製のシーチキンにするわけです。

これをサラダに乗せてツナサラダにするのですが、マグロではなくシマガツオで作ったらどうなるのか?

勝算は十分にあります。

①煮ることで水分が損なわれず、パサつきを抑えられるのでは?
②オイルを入れて煮れば、油分が補われてパサつきを抑えられるのでは?
③におい消しとなる香味野菜を入れて煮れば、独特の風味が抑えられるのでは?
④サラダの具にした場合、酸っぱいドレッシングと合わせれば身の酸味も気にならなくなるのでは?

特筆すべき点は④です。

酸味があるのが気になるのならば、逆に酸味を足してわからなくしてしまおう。

木を隠すなら森、戦法です。

今回は水煮ベースでいくけれど

オイル煮か水煮か。

どちらで行くか考えて、すぐに今回は水煮で行くことに決めました。

理由は単純。

家にオイルがそんなになかったからです。

ただ、水煮ベースではありますが、オイルは適量用いることに。

オイルの風味と油分があった方が上手くいく気がする。

工程はざっとこんな感じです。

①鍋に塩水を作って火にかけ、煮立ったらシマガツオと鷹の爪を入れて少し煮る。
②数分煮てからオイル(今回はオリーブオイルを使用)を少量加えてさらに煮る。
③水分が揮発してきたら、頃合いを見てコショウと香草(今回はディルを使用)を入れる
④煮汁の味わいが好きな塩加減になったら火を止め、容器に移して冷蔵

正しい作り方を調べたわけではないので適当ですが、マグロやカツオ、ブリといった魚のアラは、この調理法で美味しく食べることができます。

果たして、シマガツオにも通用するでしょうか?

サラダに乗っけて食べる

こうしてできたシマガツオのシーチキン風。

赤いのは鷹の爪です

真っ白な身なので、まるでサラダチキンのように仕上がりました。

身質は硬すぎず柔らかすぎずといったところ。

素材の持ち味だけで食べるのならこのままでもいいのですが、さらに違和感なく食べるために工夫してみましょう。

工夫と言っても難しくはありません。

サラダに乗せて、酸味のあるドレッシングと合わせる。

今回は水菜とレタス、ミニトマトを用意しました。

水菜とレタスのシャキシャキ感とトマトの濃い味があれば、仮にシマガツオのシーチキンが失敗していても取り返しが利きそう。

こうやって保険をかけておきます。人生。

黄色いトマトってかわいいんだな

こうして保険をかけたら、次にドレッシングをかけます。

今回はヨーグルトドレッシングを作りました。

水を切ったヨーグルトにマヨネーズと酢を加え、オリーブオイルを足してから塩で味を調えただけの簡易的なものです。(※写真は撮り忘れました。)

ヨーグルトの酸味でどこまで戦えるか? いざ実食。

水菜がシャキシャキしてて美味いな。トマトも甘みがある。ヨーグルトドレッシングも上手くいったかも!

ここにシマガツオが加わると...?

お? なんだこれ?

私は今、何を食べているんだろう?

ツナではないな。かといってサラダチキンでもない。

こんな感じで、序盤はなんだか違和感があります。

たんぱくな白身魚が載ったサラダなので、個人的に食べ慣れない感じがある。

ただ、このまま食べ進めていくと...

野菜と一緒に食べるといい感じだな。

野菜だけ食べるよりもリッチに仕上がっている。

ヨーグルトドレッシングと魚の相性もいい!

ってことは、相乗効果があるということになるのかも。

わかった。成功だ、これ!

まず第一に、でき上がったシーチキン風シマガツオの身には、癖があまり感じられません。

酸味は確かにあるのですが、かなり封じ込められている気がする。

そして、オイルを少量入れたことによって全体的にしっとりと仕上がっているためなのか、味にばらつきがなく、淡泊な味わいが前面に押し出されている。

それでも、癖は若干残っているような気もします。

癖といっても気にならない程度なのですが、ここに生野菜と酸味のあるドレッシングが足されると、料理として一気に完成された感じになります。

わずかに残った身の癖や酸味が、全くといっていいほど気になりません。

身のほぐれ方が滑らかでやさしいのも悪くない。

よかった。上手くいった!

ドレッシングは工夫の余地ありかも

今回は全ての切り身をシーチキン風に加工したため、結構な量のストックができました。

何回かに分けてサラダにして食べましたが、ドレッシングの使い分けによって印象が結構変わりました。

ポン酢をベースにした和風ドレッシングだと、魚を食べている感じが前の方に出てきます。

ごまだれや中華風ドレッシングだと、見た目も相まって「鶏肉かこれ? 違うよな?」みたいな感覚になります。

コブサラダのように、濃いめのドレッシングだと違和感がゼロになります。

ドレッシングの使い分けで、食材の個性を引き出したり、反対に弱点を隠したりできるのが面白いですね。

なお、アボカドと一緒に酸味とスパイスの利いたドレッシングで食べてみたところ、抜群に美味かったので、参考までにお知らせしておきます。

今回の個体は、もしかしたら癖がそこまで強くなかったのかもしれませんが、癖のある個体に当たった場合にどれだけ戦えるのかも楽しみ。

正直、見た目にはまだ慣れていないので、さばくのは少し怖いですが、食べ方には成功体験を積めたので一安心。

シーチキン風の調理はさほど難しくはなく、他の魚でも応用が利きますので、好きな魚を使ってぜひ作ってみてください!

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