今年は桜の季節が異常なほど早く、桜が散ってからゴールデンウィークまでの期間が長くて落ち着きませんでした。
ゴールデンウィークの最中に暑さが顔を覗かせ、季節の移ろいが着々と進む中、出しっぱなしにしていたストーブや冬物のアウターが並んだ部屋だけは、なんだか時が止まっているかのよう。
いや、しまえよ。現実逃避してないで。
っていう話ですね。はい、しまいます。。
さて。今月の半ば、久々に中野鮮魚店さんの未利用魚セットを購入する機会に恵まれました。
これまでの購入および調理の様子は、「未利用魚」タグにてまとめておりましたので、よろしければご参照ください。
前回の購入は2月。
前回は美味しいイワシがたくさん!
刺身やつみれ汁にして美味しくいただきました。
今回はどんな出会いがあるでしょうか!?
なかなか攻めたラインナップ!!!
未利用魚セットは、届くまで中身がわからない。
これがなんとも楽しいんです!
よく知らない魚に出会うための、絶好のチャンス。
反対に、知っている魚が多ければ調理法もすぐに頭に浮かぶので、これはこれでありがたい。
そうして届いたのがこちら!
うわぁ、あいつがいるじゃん! と、すぐに思って、反射でへっぴり腰になる私。
トングを取り出して臨戦態勢。
さあ、1種ずつ見ていきましょう。
まずはメジャーどころから
未利用魚セットには、珍魚ばかりが入っているわけではありません。
よく知る魚であっても、流通上の理由で未利用魚セットに回されていることがあります。
珍しくなくとも、美味しさがある程度保障されているという安心感があるのは非常にありがたい。
こんなに立派なマアジを入れていただきました。ありがたい!
焼いて食べたら間違いなく美味いだろうな。
さばくのがそこまで大変じゃないのも助かる。
知っているようでよく知らない魚の顔も
メジャーどころは1匹で終了。早いな。
同じアジでも、こちらはムロアジです。
ムロアジは暖かい海を好む魚ということもあって、私が住む東北地方ではなじみが極めて薄い。
ムロアジ属の魚の同定は、いまいち自信がありません。。
ただ、美味しいということはそれとなく知っている!
おっ、カレイだ。でも、いつも買うのとは顔つきが違う。
メイタガレイだな。手のひらサイズでかわいらしい。
この魚も、私がよく行く市場ではほとんど見ることがないです。
皮目に独特のにおいがあるため、皮を剝いて調理することもあるようですが、今回は皮ごと調理しよう。
皮を剥くのが面倒せっかくの機会なので、独特の香りを楽しみたいですから!
未利用魚セットをきっかけに出会えた魚たちも
これまでに何度か未利用魚セットを購入しましたが、中には常連の魚もいくつかいます。
個性豊かで、愛すべき点を多く持つ魚たち。
こうした”イツメン”の存在が、なんだか頼もしくも感じられます。
クロシビカマス(スミヤキ)が入っていると、今回のセットは大当たりだなと喜べます。
今回は30cmほどの小型が5匹も! 焼いて食べたらうまいはず。
皮下に見逃せないほどの強い骨があるので食べる際は要注意ですが、骨をよけながらでも食べたくなる美味しさがそこにある。
数匹の個体の口から、なにやら小魚の尾びれが見えていたので、抜き取ってみたら小さなアジでした。
定置網の中でも捕食を続けていたんだろうか?
(小アジは焼いて美味しく食べました。)
規定サイズに満たないキントキ類も、未利用魚セットの常連かもしれません。
キントキ類の同定にも全く自信がないのですが...これはヒレが黄色いからキビレキントキ?
キントキ類の魚は、チカメキントキを筆頭に美味しいものばかり。
うろこが非常に細かくて取りにくいのが難点ですが、皮目の風味が豊かでおかず向きです。
大きなタカノハダイ!
この魚は、どちらかといえば嫌われ者の未利用魚の代表格かもしれません。
磯臭さが強く、身にはわずかな渋みもある。
食べる人を選ぶ魚だとは思いますが、私はこの魚を見るとテンションが上がります。
東北では絶対に買えない魚の1つですし。
脂の乗りの良さ、特に背びれの付け根の縁側の部分は強い脂の質感があります。
刺身や塩焼きで、「くせえな!」と思いながらもどんどん箸が進みます。
芋焼酎のお湯割りを飲むときの肴としてはなかなか優秀なのでは? と、個人的にはそう思っておりました。
においをもってにおいを制する、という考え方です。
タカノハダイによく似たこちらの魚は、ミギマキという魚です。
「タカノハダイ属の魚なので、おそらくは磯臭いんだろうな」
そんな予感が拭えない魚ですが、ミギマキはタカノハダイと比べると、磯臭さがいくぶん大人しいように思います。
これまで食べたのは2回だけなので、偶然かもしれませんが...。
適度に磯の香りがある程度で、美味しく食べられるという印象。
塩焼きに柑橘でも添えたら風味が映えそうだ。
これをこれからさばくのか...!? という魚たちも
美味しくないから流通に乗らない、とは限らないのが未利用魚。
味が良くても流通に乗らない理由の1つに、調理のしづらさという点があります。
上に挙げた魚だと、キントキはうろこが取りにくいですし、スミヤキは骨の処理が少々ネック。
ただ、以下の3種はその比ではないくらい、さばくのが難しいように思えました。
立派なミシマオコゼ。
ミシマオコゼの仲間は目が上についているのが特徴で、海底にじっと潜んで上を見つめています。
そのユーモラスな面構えに、星を見る人という意味合いの「スターゲイザー」という英名がついているのは、なんともオシャレですね。
奇特な風貌もさることながら、ぱっと見でヤバいと思わせるほどの、大きなとげが備わっているのも特徴的。
危ないのでさばく前に包丁で切ろうとしたのですが、これが堅すぎて全く刃が立たない。
仕方なくニッパーで切り落としたところ、弾みでトゲが宙へ舞いました。
そして、そのまま床に落下...。
家族が踏んだら大変なので、地べたにはいつくばって20分ほど捜索。
なんとか見つけられたので一安心。ガムテープでぐるぐる巻きにして捨てます。
私は大半の魚をかわいらしく感じているのですが、どうにも苦手な風貌のものも中にはいます。
シマガツオはその筆頭。
この厳つさ、なんだか冷徹な殺し屋みたいに見えて、怖く感じてしまうのです。
ここでついに出会ってしまったか、といったところですが、それにしても大きいな。
まな板にぎりぎり乗るサイズ。
おっかなびっくり持ち上げて、調理開始です。
あと、さばいてみて初めて知ったのですが、この魚はうろこの入り方がめちゃくちゃです...。
特におなかの方にかけては、長い棒状のうろこがびっしりとついていて、うろこかきでこすってもなかなか落ちません。
完全に取り去るのは諦めて皮を引くことにしました。皮は引きにくくなかったので一安心。
箱を開封した瞬間にへっぴり腰になった要因。
そうです。ミノカサゴです。
背びれ、尻びれ、腹びれに毒針。強毒。
体色や風貌が、どう見てもヤバい奴のそれです。
背びれはカットしていただいた状態でお送りいただきました。ありがたい。
それでも、油断は禁物。刺されたら終わりだと思って、慎重にさばこう。
すべてのヒレをキッチンバサミで切り、鍋に入れて煮ておきます。
ミノカサゴが持つ毒はたんぱく性のため、高温で熱すると固まって無毒化されます。
この状態にしてから捨てないと、思わぬ二次被害を引き起こしかねません。
さばき終えたときに、かなり大きめのため息が出ました。緊張したなあ...。
個性が光る面白いラインナップに大満足
こうして、すべての魚をよく観察しながらさばくことができました。
特に後半の3種は、人生で初めてさばく機会になったので、非常にうれしいところ。
普段ならうろこが堅いタカノハダイを難敵扱いしていますが、今回はそれを上回る面々がいくつも入っていたので、よい経験になりました。
そういえば、ミシマオコゼは以前に購入して食べたことがありましたが、その際は頭とトゲは落とされた状態で売られていたっけ。
さばいてみて納得。
トゲもさることながら、頭の骨も異常に硬くて落とすのに苦労しました。
見た目がヤバい奴が想像どおりさばきにくいのって、非常に面白いです。
苦労してさばいたら、あとは美味しく食べるだけ!
調理編は後日まとめたいと思います!
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