宮城県は美味しい海産物がたくさんある県です。
魚以外の海産物も多く、例えば気仙沼のホヤは夏の味覚として根強い人気があり、宮城県のプライドフィッシュとして定義されています。
貝類も美味しいものがたくさんあり、中でも松島のカキは有名ですね。
また、閖上の赤貝は高値で取引され、山元のホッキ貝はホッキ飯となり郷土の味覚として親しまれています。
ですが、今回はこの貝を紹介したいと思います!
宮城県はムール貝の生産量が多い
それはこの貝!
そう、ムール貝です!
標準和名はムラサキイガイという名前の貝で、元々はヨーロッパ(地中海)が原産でしたが、船舶の往来によって、20世紀初めの頃から日本にも入ってくるようになりました。
船底に付いていたものや、バラスト水に交ざっていた幼生が国内に入ると、それからは爆発的な勢いで増殖し、現在の日本ではありふれた種となっております、
防波堤の岸壁などから海を覗き込むと、びっしりと付着している様子が見て取れるかと思います。
この貝は、厄介者として扱われている場面が多いように思います。
発電所の水路にへばりついて通水の障害を引き起こしたり、カキの養殖棚に付着して生育を阻んだり。
水質があまりきれいでいないところにも生息できますが、そういう場所に住むムール貝は食用に向かず、食べて減らすこともままなりません。
前述のとおり、宮城県はカキの養殖が盛んで、ムール貝はカキの養殖を阻む厄介者として扱われてきました。
しかし、近年では「三陸ムール貝」としてブランド化もされているものもあります。
仙台で暮らしていると、宮城県産(石巻産が多い)のムール貝が売られているのを目にする機会があります。
原産がヨーロッパのため、輸入によって賄われていると思われがちな貝ですが、こうして国内生産がされている貝なのです。
手頃に買えるのがうれしい
このムール貝、なかなか手ごろな価格で買うことができるのもうれしいところです。
これだけ入って250円!
上の写真のものは小型~中型が入れられたパックですが、大きなムール貝でも手ごろな価格であることの方が多いように感じます。
「貝類は好きだけど、値段がね...」という人にもおススメの貝です。
砂抜きの必要はないけれど
ムール貝は岩礁帯を好む貝なので、基本的にはアサリのように砂抜きをしなくていいのも利点です。
買った日に調理することができますからね。
ただ、その代わりにやる必要があるのが以下の2つ。
①貝の表面をよく磨くこと
②足糸と呼ばれる糸のようなものを取り除くこと
ムール貝の表面には、泥やフジツボなどが付いていることが多いので、調理前にたわしなどで良く磨く必要があります。
固くこびりついている汚れであれば、固い金属製のもの(マイナスドライバーやバターナイフなど)でこそぎ落とすのが早いです。
太い足糸も、食感が悪くなるので取り除いておきましょう。
こうした処理をするだけで、美味しさが大幅に変わってきます。
面倒でもやっておいた方が良いでしょう。
塩茹でにするとすごい出汁!
まずは写真のように、簡単に塩ゆでにしてみます。
塩水に調理種(日本酒)を入れて茹でると、白濁したおいしそうな出汁がでます。
ムール貝の美味しさは、この濃厚な出汁にあると言えるかもしれません。
茹で終わったら殻を外し、出汁も取りおいておきます。
殻ごと使ったほうが見栄えがよいのですが、今回は大半をこうして外してから使ってみます。
ちなみに、宮城県でのムール貝の旬は夏なので、この時期のものは身入りがやや小ぶりです。
とはいえ、ぷりっとしていて美味しそう。
ちなみに、ムール貝を剥くと、オレンジ色のものと白っぽいものがあることに気づきます。
オレンジ色がメス、白っぽいものがオスです。
和の味付けでどこまでいけるか?
ムール貝を使った美味しいレシピをざっと挙げると、パエリヤ、ブイヤベース、ワイン蒸し、ペスカトーレなんかがすぐに浮かびます。
それらが洋食のメニューなのは、やはり原産国の調理にのっとっているからなのかもしれません。
実際に、私も先日、セロリやタマネギ、カナガシラを使ってスープにしてみました。
ほんの少しだけケチャップを入れて洋風のスープにすると、これがガツンと美味いんです!
では、和食のメニューで使えないのかといえば、そんなことはありません。
まずは味噌汁から。これは殻付きで作ってみることにしました。
殻付きのムール貝を4つ入れて鍋を沸かし、頃合いを見て味噌を溶きます。
出汁はクリーミーで力強いのですが、ここに味噌とネギの風味が加わると、途端に味噌汁として成立します。
なんの違和感もない、とても美味しい貝の味噌汁です。
ごはんにもよく合いそうだ。
では、澄まし汁だとどうなのかというと、これは特徴的な味!
茹で汁に溶け出した出汁の風味がかなり強く、なんだかおいしい塩ラーメンのスープみたいだ。
澄まし汁のはずなのですが、中華スープみたいな強さが感じられます。
試しにコショウを入れてみたら、完全に中華スープになりました。美味い。
茹で汁と身だけで炊き込みご飯を作ると、口に入れて数秒後にパエリヤの雰囲気がはっきりと広がります。
ただ、和食である炊き込みご飯の範疇をぎりぎり越えていかない感じ。
炊き込みご飯の輪郭は、しっかり保たれています。シンプルなのに美味い。
冷凍しておいて普段使いするという方法も
1日では食べきれなかったため、外した身と茹で汁を冷凍保存しておきました。
茹で汁は大きめの製氷皿で保存。便利!
茹で汁少しと身少しを入れただけなのに、いつものインスタントラーメンが急に本格的に。
なんだか磯ラーメンを食べているみたいだ。
海苔を入れればもっとよかったかもしれない。
ムール貝は出汁がよく出るため、水分を使った調理だとその持ち味が活きます。
ただ、こうやってバターで炒めてしょうゆで味付けすると、間違いなく美味いですね。
酒の肴として申し分ないな。
宮城のムール貝は手頃で美味しいうれしい存在
こうしてムール貝を堪能しました。
美味かったな~!
250円とは思えないほどの満足感。
ただ、これだけ作っておきながら、パスタを作り忘れたのがどうにも誤算でした...。
和風パスタ、絶対に美味かっただろうな...。
美味いに決まっているから作らなかったけれど、ないとやっぱり寂しい。
食べたくなってきたな。食べよう。そうだ。食べよう。
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