前回の釣行では、様々なサイズのコノシロを釣ることができました。
このときに釣れたコノシロはこちら!
小さめの個体、「コハダ」サイズが8匹。
中サイズの個体、「ナカズミ」サイズが3匹。
20cmを超えた「コノシロ」サイズは2匹。
コノシロは「逆」出世魚?
コノシロについては、以前ジャガータイプのフィッシュギターにしておりました。
さて。
成長とともに呼び名が変わる魚を「出世魚」などと呼びます。
代表的なものは、
ワカシ→イナダ→ワラサ→「ブリ」
セイゴ→フッコ→「スズキ」
などがそれに当たります。
コノシロも成長とともに呼び名が変わる魚で、
シンコ→コハダ→ナカズミ→「コノシロ」
とその名前が変化していきます。
しかし。
コノシロは生まれて間もない「シンコ」が一番市場価値が高く、「コハダ」も人気があり、「ナカズミ」となると価格が急落し、コノシロまで成長すると安い魚に成り下がってしまいます。
そのため、「『逆』出世魚」などと不名誉な名前で呼ばれてしまうことも...。
ただし、大きくなると味が悪くなるということではないのです。
大型のコノシロの評価を下げている点、それは小骨の多さ。
小型ではそこまで気にならなくとも、大型になるほど小骨は堅くなり、食べにくくなってしまうのです。
その反面、旨味の強さは大きい個体の方が上。
食べ方の工夫次第で、大きなコノシロも美味しく食べることができます。
念のため、小骨の確認の意味合いで、コハダサイズのものを刺身にしてみました。
半身で1枚、合計2枚の小さな刺身です。
(※写真上の2枚。下はサヨリ。)
コハダをこうして食べたことはなかったのですが、食べてみると、こんなに小さくとも旨味は充分。
このあたりが、さすがニシン目の魚と言ったところでしょうか。
しかし、どうしても小骨の食感は口に触ります。
私は問題なく食べられたのですが、気になる人は少なくないかもしれません。
これは食べ方を工夫する余地あり。
(※余談ですが、サヨリも最高に美味しかったです!)
今回は、一番高価と言われている「シンコ」サイズは釣れませんでしたが、コハダ~コノシロサイズの個体が一通りそろっています。
せっかくなので味の比較をしてみることにしました。
定番の酢締め
コノシロの食べ方で、一番有名なのは酢締め。
酢の効果で小骨が柔らかくなり、口に当たりにくくなるのです。
左から順に、コハダ、ナカズミ、コノシロ。
比べるとその違いは歴然。
大きさも色合いも異なっています。
コノシロという魚は、青黒い背と銀白色のおなか、そして側線の上側に走る小さな斑点が特徴的。
酢締めにした時に、皮のこの色合いが映えるのです。
コハダは3枚におろさず、腹開きによって背骨を取り外したまま酢締めにしてみました。
小さい魚なので、さばくのはなかなか難しくもありますね。
口に入れて噛みしめると、酢の酸味の後からふんわりと香るような旨味があります。
身は脆弱で、口の中でほどけるのは早い方。
ただ、小骨はまるで気になりません。
酢飯と合わさった場合、小骨に違和感を抱くことなく食べられますし、味わいの主張が強すぎないために、お寿司はバランスの良い1貫となります。
ナカズミは3枚におろし、半身で2枚としてみました。
口に入れた瞬間は、コハダと同様に酢の味が真っ先に来ますが、噛みしめているうちに変化が。
コハダと比べると味にコクが感じられるのですが、結構はっきりとした差があります。
咀嚼していても、味がなかなか減衰しない。
実に味わい深く、海鮮丼の上に数枚乗っていたら、とてもうれしい存在のように思います。
コノシロは半身で4枚取れました。
このサイズともなると貫禄充分。
今回は、コハダ、ナカズミ、コノシロともに、酢に浸ける時間をすべて同じ時間としました。
(半日ほど浸けております。)
そのためなのか、小骨の感じはこれまでで一番強く感じられます。
しかし、口に当たって咀嚼が気になるほどではありません。
味わいの一番の大きな変化は、脂の質感のように思います。
ナカズミまではそこまで大きく感じなかった脂が、コノシロにもなると結構強烈に感じられます。
旨味の強さも一番なので、脂と合わさって、想像以上に濃厚な味わいです。
居酒屋などでよく炙りシメサバを口にする機会がありますが、この酢締めのコノシロで炙りをやっても面白いことでしょう。
その場合、表面に脂が浮かび上がり、酒の肴としてはうってつけなのではないでしょうか。
一応、焼き物にもしてみた
これで充分比較はできたのですが、ここに来て焼き物もやってみようと考えました。
コハダだと小さすぎて焼き網の上で安定しなかったこともあり、今回はナカズミとコノシロを半身の状態で焼いてみることにしました。
コノシロを焼く時の注意としては、骨切りをするという点が挙げられます。
表面に数ミリ単位で切れ目を入れてから焼くだけなので、そこまで難しくはありません。
まずはナカズミから。
これは充分に美味く、焼くことで香ばしく、旨味も強い。
もう寒くなってきたので今回はやりませんでしたが、冷汁の具にしたら良い味を醸し出すように思います。
一方、コノシロは完成されています。
表面は脂で揚げたかのように仕上がっており、脂の美味しさは、酢締めよりもさらにわかりやすいように思います。
骨切りしてから焼いているので、小骨も咀嚼できるまでもろくなっています。
食べにくさはあまり感じられず、そして美味しい。
このサイズの個体、もう少し釣ってくればよかったですね。あと何匹か食べたかった。
一度、味わいの違いを楽しむと、もう「『逆』出世魚」などと呼べない
こうして、サイズごとにコノシロの味の変化を楽しむことができました。
こうやってサイズが違う個体が同時に手に入ったら、食べ比べるのが面白いでしょう。
他の出世魚と比べて、コノシロは小型の魚なので、幼魚から成魚まで河口や防波堤の同じ場所で釣ることができます。
丁寧に酢締めにすれば、家庭で作っても上々の味わい。
防波堤からのサビキ釣りの対象魚としては、アジ、イワシ、サバと比べると、コノシロは1枚も2枚も人気が落ちるような印象があります。
しかし、ここでは格の違いなど全く関係ありません。
釣って楽しめるか、調理して楽しめるか。ただそれだけのことです。
コノシロには食べ比べができるという楽しみが備わっています。
ぜひ一度やってみてください。ゆっくり味わいながら、きっと楽しい晩酌になりますよ。
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