アナゴ類の中で最もポピュラーなマアナゴは、夜になると貪欲にエサを捕食する魚です。
大型が釣れることもあり、夏の蒸し暑い日に、夕涼みを兼ねて防波堤からの夜釣りで狙うのが面白いです。
ここではマアナゴはどんな魚なのか、思い出を交えながら書きつつ、ギターにしてみたいと思います。
マアナゴはこんな魚

ウナギ目アナゴ科のこの魚は、最大で1mほどまで成長する魚です。
体形は細長く、灰褐色の体表に白い斑点が規則正しく並んでいるのが特徴です。
この規則正しい白い斑点がハカリ(定規)のようであることから、「ハカリメ」の名で呼ばれることもあります。
ウナギ目の魚は夜行性のものが多いですが、マアナゴもその例に漏れず、日中は物陰でじっとしていますが、夜になると活発に動き回り、貪欲にエサを漁ります。
小魚やエビ、カニ、多毛類などを食べますが、たんぱく性のものなら何でも食べる傾向があり、海の掃除屋さんのような役割も果たしています。
そのため、釣りで狙う際は夜間が必須であり、エサには魚の切り身やイカの塩辛のような匂いが強いものを使うと効果的でしょう。

また、狭いところに集団で入り込もうとする習性があるため、漁の際には塩化ビニル管をつかった罠を沈めて捕獲することもあります。
水族館のでも、狭い管の中に何匹ものマアナゴがすし詰めで入ってこちらを見ているという構図で展示されていることがあります。
ユーモラスで愛嬌のある顔だと思っていますが、「気持ち悪い」という悲鳴もよく耳にします。
「そんなことないよ」と言えない見た目なのが悩ましいところですが...(笑)
少し泥っぽい砂泥地を好む魚で、宮城県でも多く漁獲される魚です。
宮城県においては「北限のアナゴ」と称され、県のプライドフィッシュにも認定されています。
専門店もありますし、観光地である松島では、煮アナゴを使ったどんぶりも人気の一品になっています。
宮城のアナゴは、市場での評価の高さのわりに、一般には意外と知られていないように思えます。
宮城に来た際にはぜひ、お店で美味しいマアナゴをご賞味いただければと思います。
最高に美味いですよ!
マアナゴの思い出
大学時代、先輩が釣りをやってみたいと言ったため、道具を買いそろえるところから付き添い、その日の夕方から海に向かったことがありました。
季節は10月後半で、夕方は随分と冷え込みました。
こういう時に何か釣れてくれれば寒さも気にならないはずなのですが、1時間経ってもいかんせん何も釣れないため、全身に冷えが回っています。
この時、私はもう帰りたいと思っていたのですが、先輩の初めての釣行がボウズで終わるのもどうかなと思って、「暗くなれば可能性もありますけどね」と、つい口走ってしまいました。
先輩は複雑そうな表情で「夜まで...やる?」と言いました。
この時点で私も先輩も帰りたかったはずです。
しかし、私はつい「どうします?」と先輩に決定権を投げ返してしまいました。
先輩は変な笑みを浮かべて「やろう...か」と言いました。
こうして誰も望まない夜釣りに突入したのでした。
夜釣り用に、仕掛けの途中にケミホタルをつけて、釣り再開です。
青イソメをつけたシンプルなミャク釣りで海底を狙っていましたが、いまだに当たり0です。
竿につける鈴を持ってきていれば、竿は放置して車の中にいることもできましたが、鈴は持っていないためそれもできません。
10月の夜は驚くほどに寒いです。
なんでもいいから早く釣れてくれ!と願いました。
その時です。
竿に小さなあたりがあったようで、「来たかも!」と先輩が叫びました。
頼むから逃げないでくれと2人で願っていると、魚は無事に釣りあがり、岸壁の上をのたうち回っています。
車のライトでその魚を照らしたところ、「なんだこれ?」と先輩が言いました。
そう、その魚こそがマアナゴでした。
大きさは20cmくらいの小さなものでしたが、この子のお陰で今日はもう帰れます。
しかし、その瞬間、先輩が信じられないことを口走りました。
なぜか「よし、この調子!」と言ったのです。
先輩は初めて釣った魚に興奮して、アドレナリンが大量に出て、その結果寒さを感じていなかったのだと思います。
私は苦笑いして「帰りましょう!」と言いました。
その後、日中の釣りに夢中になって、つい夜まで釣り続けてしまうような場合に、マアナゴを釣ることがよくあります。
同じ場所で釣り続けているのに、日没の前後で釣れる魚がガラッと変わるのが防波堤釣りの面白いところです。
アナゴは意外と繊細な当たりなので、当たりはあるが針掛かりしないということがよくあります。
上手く針掛かりしなかった場合は、貪欲な魚なのでエサのにおいにつられてまたやってくると信じて、
何度も同じ場所にエサを投入するとそのうち釣れる、ということもありました。
マアナゴは細長い魚のため、同じ長さでも、他の魚と比べたら可食部が少なくなります。
寿司やてんぷらの世界では、小さなアナゴの方が好まれる傾向にあるようですが、私は小さなアナゴが釣れた場合は逃がしてしまいます。
大きくなる魚なので、どうせなら食べ出があるものだけ持ち帰りたい、と思っているからです。
アナゴをさばくのはなかなか慣れませんが、体表に酢をかけて、ぬめりを凝固させてから包丁の背でこそぎ落とすという方法を聞いてから、いくぶんさばきやすくなりました。
ぬめりさえなければ、目打ちをして固定しなくてもなんとかなります。(※調理したものを他人に出さない場合に限りますが)
アナゴのシーズンは夏というイメージがありますが、70cmを超える大型の個体は寒くなってきた頃にしか釣ったことがありません。
大型のものは、脂の乗りとたんぱく質の旨味がバランス良く、実に美味しいものです。
かば焼きにしてご飯に乗せるもよし、白焼きで一杯やるもよし、てんぷらにすればおなかがいっぱい。
そんな夢を見ながら、黙々と夜の釣りに勤しむのも、趣深くて良いものです。
マアナゴをギターにすると

マアナゴはテレキャスターシンラインタイプにしてみました。
ソリッドのテレキャスターのガツンとした部分に、セミホロウのボディが生んだ広がりが加わるため、テレキャスターシンラインタイプは力強くも甘いような、独特のサウンドが特徴的です。
調理されたマアナゴを口に入れたとき、脂の美味しさがガツンと来た後で、たんぱく質の旨味がじわっといつまでも広がり続ける様子が、このギターと重なります。
また、脂の乗りが良いマアナゴは、おなかの周りが金色っぽく輝いているようにも見えたことがあったので、ヘッドとピックガードは強気に金色にしてみました。
こうすることで、暗いステージ上でも際立って見えるはずです。
夜のライブに出演する際にステージで構えたら、マアナゴのように活発で貪欲なリードギターが弾けるのではないでしょうか!?
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