中野鮮魚店さんの未利用魚セット、毎回楽しませていただいております。
中身に何が入っていたかについては、前回の記事をご参照ください。
今回ははじめましての魚も多く、調理の前に口やヒレを伸ばしてみたり、鱗の質感を指で撫でて確認したり、たくさん観察することができました。
観察が終わったら、いよいよさばいていきます!
調理前の下処理だけで4時間近くかかってしまいましたが、その時間はずっと楽しさが持続しておりました。
この、「ずっと楽しい」という感覚が大切ですね。
だから続けていられるような気がします。
鮮度が良い魚は刺身が一番?
今回は魚種も豊富。
サバ、イカ、メアジ、ムロアジ、サンバソウ、タカベ、シラコダイ、カゴカキダイ、ハタンポ、イスズミ、チョウチョウウオ、アカマツカサ、チカメキントキ、スミクイウオ、アイゴ。
15種!これはやりがいがありそう。
静岡から発送された荷物が仙台に届くまでは約1日。
その間の鮮度落ちは魚種によって異なりますが、身がまだ硬いままで、鱗もしっかり残っているような魚を見ると、ついついどれもこれも生で食べたくなってきます。
魚によっては、刺身という調理法が最適解でないものもいます。
身に水分が多かったり、皮目に好ましい風味があったり、加熱調理の方が持ち味が活きる魚はたくさんいます。
それはわかっているのですが、初めて出会う魚はなるべくシンプルな食べ方、素材の味がわかる食べ方をしたくなるものです。
しかし、あれもこれもと刺身にしてしまうと、未利用魚が届いた初日の食卓は食べきれないほどのお刺身で埋め尽くされてしまいそう。
なので、選抜を行いました。
今回は、メアジ、ムロアジ、タカベ(小)、サンバソウ、アイゴを刺身にすることに。
...多いな?
へっぴり腰でアイゴをさばく
今回届いた15種の魚たちのうち、14種は問題なくさばけそうです。
形がそこまで変な魚はいませんし、塩焼きや煮つけ用の下処理であれば3枚にする必要がありません。
問題はこの魚。
![](https://fishguitar.sasapapa.com/wp-content/uploads/2022/08/ff9dd67bce2b222d5cff971c56651698-1024x576.jpg)
そうです。
でっかいアイゴです。でっかいアイゴーです。アイゴでーす。
(※マヂカルラブリーの漫才のツカミみたいな言い方で読みましょう。)
アイゴはヒレに毒針を持つことで有名な魚。
その毒は、魚が死んだ後も持続する。
つまり、調理中に刺されたらアウトです。
刺された人の体験談を見ると、手がグローブのように腫れたとか、成人男性が涙をこぼして泣いたとか...。
絶対に刺されたくないですね...。
そう思って、アイゴをさばくのは一番最後にすることに決めました。
魚をさばいている途中で刺されてしまった場合、他の魚を自力でさばけなくなる可能性がある。
この事態は避けなければいけません。
そして、ついに14種の魚をさばき終え、残すはアイゴ1匹だけとなりました。
アイゴを素手でつかむ勇気はありません。
なので、アイゴをつかむ時だけはずっとトングを使っておりました。
まな板の上に乗せてからは、左手のトングでアイゴを押さえ続ける徹底っぷり。
完全に腰が引けています。
さて、まずは毒針除去をしていきましょう。
尾びれ以外の全てのヒレをキッチンバサミで切り取ります。
勢い余って指に刺してしまわないよう、ゆっくり1本ずつ、確実に切り取っていきました。
また、切り取ったヒレは小鍋に入れておいて、捨てる前に一度茹でることにします。
アイゴの毒はたんぱく性のため、加熱でたんぱく質を変性させることで無毒化することができます。
ごみ処理をした私以外の人が刺されないよう、念には念を入れておきます。
そうして毒針の除去は完了しました。
それでも、「万が一、切り残した毒針があったりして?」と思ってしまいます。
私は疑心暗鬼のまま、へっぴり腰を継続させた状態で、ようやく2枚下ろしを終えました。
初めてのアイゴには、最後までビビりっぱなしでした。
3枚にする気力はもうないので、これにてアイゴの下処理は完了とします。
魚尽くしの食卓
4時間以上の格闘の末、ようやく魚をさばき終えました。
ここから調理開始ですが、未利用魚を買った日の食卓は魚尽くしになります。
![](https://fishguitar.sasapapa.com/wp-content/uploads/2022/08/DSC_0834-1024x576.jpg)
まずはお刺身の5点盛り。
上からメアジ、ムロアジ、タカベ、サンバソウ、アイゴ。
アジ類は手で皮を剥いたということもあり、皮下の色が身に残っております。
タカベは皮を残したまま、焼霜造り風にしてみました。
イシダイの幼魚であるサンバソウは、引いた後の皮を湯引きしたものも添えました。
どれも個性が感じられる美味しさ。
無難だと思っていたメアジが少々癖のある味わいで、反対に磯臭さを懸念していたアイゴが癖が少ないという結果に。
アイゴは身の堅さもちょうどよく、なかなか上質でした。
メアジ、ムロアジは青魚特有の旨味ととろりとした口当たりがしっかり感じられます。
サンバソウは小さくともしっかりとした身質。
タカベは小型のものを使いましたが、皮目にほんのりと脂を感じられました。
![](https://fishguitar.sasapapa.com/wp-content/uploads/2022/08/CENTER_0001_BURST20220826195134723_COVER-1024x576.jpg)
大きなタカベは尾頭付きの塩焼きに。
正直、さばいていた時に勝ちを確信しておりました。
おなかの中には内臓脂肪がたっぷり。
焼き物にしたら美味しいに決まっています。
その予感は的中。
焼き始めてすぐに、じゅうじゅうと脂がしたたり落ち、魚の表面には脂がふつふつと爆ぜています。
一箸入れて口に運ぶと、思わず笑みがこぼれます。
これは夏の魚の味わいだ。
イサキに少し似ていますが、磯臭さはあまり感じず、皮目と脂の旨味にはしっかり個性がある。
いくらでも食べられそうな美味しさ!
大切に食べ進めていきました。
![](https://fishguitar.sasapapa.com/wp-content/uploads/2022/08/DSC_0835-1024x576.jpg)
2枚下ろしにしたアイゴの半身は、そのままフライパンでマース煮にしました。
アイゴを初めて食べたのは、数年前に沖縄旅行に行った時のことでした。
居酒屋のカウンターで食べたアイゴのマース煮。
あの味が忘れられなかったため、どうしてもマース煮で食べたかったのです。
マース煮は、身に癖のある魚に向いていると言われていますが、今回のアイゴはそもそも、あまり磯臭さを感じない個体でした。
塩と水、泡盛だけで作った、このマース煮がまた味わい深いものでした。
身離れも良く食べやすい。
煮詰まった煮汁を、魚にからめながら食べるのがまた美味い。
煮つけなので余すところなく食べることができるのもいいですね。
翌日の食卓用に
こうして夕食を食べ終えましたが、翌日の食卓用にもう1品作っておりました。
それがこちら!
![](https://fishguitar.sasapapa.com/wp-content/uploads/2022/08/DSC_0847-573x1024.jpg)
そう、小サバで作った南蛮漬けです。
3枚におろしたサバに片栗粉をつけて揚げ、調味液に漬けて1日冷やします。
お酢を大量に入れた調味液は、味見すると信じられないほど酸っぱい。
それが、タマネギと一緒に魚を漬けて1日置くだけで、ちょうどいい塩梅になっているから不思議です。
南蛮漬けはごはんとの相性抜群!
たくさん作ってもあっという間に食べきってしまいます。
未利用魚を食べる楽しみはまだまだ続く
こうして2日連続で大満足の食卓になったわけですが、まだまだ魚のストックはあります。
冷凍保存しているので、まだまだ楽しめそう!
初めて食べる魚も残っているので、大事に食べ進めていこうと思います。
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