5月中旬に購入した未利用魚セット。
初めて出会う魚から、久々に会う魚まで、素敵な魚たちとの出会いがそこにありました!
少しずつ食べ進めておりましたので、調理編の一部をお送りしたいと思います。
箱の中身の振り返り
最初に、今回入っていた魚の振り返りから。
マアジ、ムロアジ、メイタガレイ×2、クロシビカマス×5、キントキ、タカノハダイ、ミギマキ、ミシマオコゼ、シマガツオ、ミノカサゴ。
今回はさばくのに多少苦労する魚が何点か入っておりました。
キントキはうろこが細かくて取りにくく、タカノハダイとミギマキは硬くて取りにくい。
ですが、それを上回ったのがシマガツオ。
おなかの辺りのうろこは長い棒状をしており、複雑に入り組んだ形状のため、取り方がよくわかりません。
あらかた取った後で皮を引く、というやり方でなんとか。
ミシマオコゼのトゲには毒がないようですが、刺さったら絶対に痛いので、最初に除去。
包丁では切れないので、ニッパーを持ち出してきてへし折るしかない。
一方で、ミノカサゴは毒針を多数所持する魚として有名です。
左手にトングを、右手にキッチンバサミを持ち、へっぴり腰スタイルでさばきました。
まずは刺身で
魚の下処理をしていたらすっかり深夜になってしまい、食べるのは後日にしようかと考えたのちに、思案。
深夜だけど刺身で食べられそうなものは食べておこう。せっかくだし。
写真は上からムロアジ、2段目左からミギマキ、ミシマオコゼ、下がタカノハダイ。
ムロアジは生食が一番好きです。
小型だと脂の乗りが少ないものの、アジ科の魚らしい旨味と風味に優れている。
ミギマキはタカノハダイ属の魚ながら、磯臭みは強くないのが好印象。
ミシマオコゼの刺身は弾力がものすごく、かみ切るのに一苦労な感じがフグをほうふつとさせます。
(※フグは数回しか食べたことがないのですが)
もっと薄く切ればよかったかも。でも美味しかった。
タカノハダイは脂の乗りの良さが抜群で、甘みも感じられる。
ですが、やはりこの磯臭さと、わずかな渋味を含んだ独特の風味は、食べる人を選ぶと思われます。
私はこの魚を食べるたびに、毎度のように一口目は「?」となって、食べ進めていくうちに慣れていく感じがありました。
身の食感の良さと脂の甘さは一級だと思うので、これで磯臭ささえなんとかなれば、タカノハダイはもっと根がつく魚だったはず。なんて思っています。
シンプルな塩焼きでごはんのおかずに
クロシビカマスの塩焼き、大好きなんですよね。
皮下に小骨が走っているので、食べにくい場合は骨切りした方が良いのかも。
皮下には美味しい脂が含まれているので、表面が揚げたように仕上がり、これがえもいわれぬ美味しさ!
深海のギャングのような見た目とは裏腹に、しっとりとした品のある白身もすばらしい。
キントキは煮つけより焼き物の方が好みだと最近気がつきました。
うろこが細かくて非常に取りにくい魚なので、煮つける際は表面に熱湯を回しかけてから冷水にとり、包丁でこそぐようにするときれいに剝がれてくれます。
今回は塩焼きなのでその工程はせずに、ひたすらうろこかきでこすってみたのですが、途中で嫌になってしまい、うろこが半分くらい残ったまま焼くことになりました。
この塩焼き、個人的には細かいうろこはほとんど気にならず、皮のまま美味しく食べられました。
気になる場合は皮だけ残して、中のしっとりした白身だけを食べる方法もありかもしれません。
メイタガレイは皮目に独特の風味があるので、皮を剝いてから使うことも少なくないようです。
「独特の風味」と書きましたが、要は臭みを持つものもいるということです。
同様に、ムニエルの定番のシタビラメなんかも、皮を剝いて使うことがありますよね。
ですが、久々に食べる魚なので、今回は皮つきのまま、風味がよくわかるように塩焼きに。
これが大正解!
若干、よく食べるマガレイやマコガレイとは違った風味ですが、少しひなびたような味わいがくせになります。
冷凍庫にもう1匹ストックがあるので、そちらは煮つけにしてみようかな。
半身を刺身で食べたタカノハダイ、もう半分は塩焼きにしてみました。
これがなんともパワフルで、控えめに言って最高でした!
表面が脂でテラテラと光り、食欲をそそります。
ただ、一点注意するならば、生よりも加熱調理の方が磯臭さが出るように思います。
バターソテーやマース煮といった磯臭みを抑える調理法ではなく、直球で塩焼きにしているので、香りは非常にダイレクト。
ただ、脂の美味しさが刺身よりも感じられ、特に背びれの付け根である「エンガワ」の部分の甘みには目を見張るものがありました。
酒の肴として優秀だと思います。
芋焼酎のお湯割りだと、においとにおいがぶつかり合って、不思議とスイスイ進んでしまいます。
慣れてくるとご飯のおかずにすることもできます。
大きなタカノハダイだったので、1匹で刺身と塩焼きの両方を堪能できました。大満足!
毒のあるあいつを煮つけてみる
ミノカサゴは煮つけにしました。
刺身にもしたかったという気持ちはありましたが、毒針を指に刺したらどうしようと怖くなり、さばく工程は最小限にしたのです...。
ただ、この煮つけは美味い。
同じカサゴ亜目のメバルやカサゴよりは旨味が薄いように感じますが、身のほぐれ方が素直で煮汁と良くからみ、なかなかいい塩梅です。
水族館で見る機会も多いこの魚。
大きなヒレを優雅に躍らせて泳ぐ姿は、なんだか毒々しくもあって、子どもの頃から強く惹かれる何かを感じ取っておりました。
花魁(おいらん)という形容が、なんともしっくりくる魚です。
まさか、自分でさばいて食べられる機会に恵まれるとは!
ありがたい限りです。
個性豊かな未利用魚を堪能
こうして、今回の未利用魚セットも楽しく食べ進めておりました。
中でも、クロシビカマス(スミヤキ)は最高に美味いですね!
サイズは30cm程度と小型になりますが、脂の質感もしっかりと感じられて、良いご飯のおかずになります。
ミシマオコゼを刺身にするときは、すごーく薄く造った方がいいというのも発見でした。
茹でた肝をしょうゆに溶いて肝じょうゆで食べたら、カワハギみたいにならないかな? などと思ったので、次回はそうしてみたいところ。
タカノハダイとミギマキの食べ比べも楽しかったです!
今回の未利用魚セットはマイナーな魚が多く、見るのも、さばくのも、食べるのも楽しかったです。
奇怪な見た目の魚が、想像どおりさばきにくいと思わず笑ってしまいそうになりますし、淡泊で癖のない味わいだとそのギャップに驚きます。
発見を楽しみながら、今度も未利用魚セットを購入したいところです。
中野鮮魚店さん、今回も貴重な機会をありがとうございました!
コメント