「ムシガレイ」を使って「蒸しガレイ」を作る

日記
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先日、スーパーに行った際に、こんなお魚との出会いが。

よく見るマガレイとは少し違う

4匹で250円ほどのお手頃価格のカレイ。

これは「ムシガレイ」というカレイだ。

もう少し近くで見てみよう。

体表に特徴があるムシガレイ。お味の方は?

特徴的な斑紋

この魚を漢字で書くと「虫鰈」となりますが、虫を食べるのが好きという意味ではなく、体表の特徴的な斑紋がその名の由来。

虫食い痕のような丸い斑紋がいくつも点在していることから、名前に虫がが付くこととなったと言われている。

私はこれまでに、この魚を数回食べたことがあるが、身に少し水分が多いというのが最初の感想だった。

そのため、塩をして少し脱水させてから調理すると、より美味しく食べられる。

塩焼きは淡白でカレイらしい風味が豊かであり、ごはんのお供としてはなかなか良かった。

生食は、若干の物足りなさを感じてしまうのは否めないが、決して悪くはない。

函館に行った際には、回転寿司で食べたこともある。

「水草ガレイ」の名でレールの上を回っていたそれは、やはり水分が多く、旨味も他の魚と比べると落ち着いていたが、脂や味わいの濃い他の寿司ネタを食べている途中に挟むといい塩梅だった。

こういう寿司の楽しみ方のあるのかも? などと思うことができたので、非常に良い経験になった。

刺身にしてみることに

刺身にもしてみた(下の2列。上はカナガシラ)。身の色は真っ白。

さて。今回はどんな風に調理してみようか?

一応刺身にもしてみよう。

カレイやヒラメのような平たい魚は、通常の3枚下ろしではなく、5枚下ろしという方法でさばくのが良いとされている。

身の薄い魚なので、慎重にサク取りをして刺身に。

やはり淡白でふわふわした食感だ。

風味も落ち着いていて、醤油とワサビの味に負けてしまいそうな雰囲気もある。

これはこれで美味しいけれど、皮目の風味を活かす調理の方が良いかもな。

であれば...そうだ!

その名のとおりの調理法

蒸し物にしよう!

ムシガレイで『蒸しガレイ』を作るなんて、ただのダジャレじゃないか」などと思うなかれ。

ただ蒸して、はい終わり、ではない。

今回は中華調理の1つ、「清蒸(チンジョン)」風で作ってみようと思う。

この清蒸という料理は、調理工程の最後にダイナミックな仕掛けが待っている。

作り方をざっくり書くと、

  1. 下処理した魚を皿に置き、紹興酒をなじませる。(今回はなかったので泡盛で代用)
  2. その皿を蒸し器に入れる。(蒸し器など持っていないのでフライパンと茶碗を使って簡易蒸し器とした)
  3. ネギの青い部分を乗せて点火。15分くらい蒸す。
  4. 蒸されている最中に、白髪ネギとショウガの千切りを用意。唐辛子も少量だけ切っておく。
  5. 蒸し終わった魚から出た水分を適量取り、残りの水分は捨てる。
  6. 魚から出た水分に調味料を入れてレンチン。(今回はしょうゆ、砂糖、オイスターソース、少量のニンニクを使った。)
  7. 魚に4の白髪ネギ、ショウガ、唐辛子をのせて、6の調味液をかける。
  8. ごま油を大さじ2くらいフライパンに入れて、煙が出るくらいまで加熱。
  9. それを魚の上からかける。完成。

こんな感じだ。本来の作り方かどうかは定かでないので、あくまで清蒸「風」ということになる。

熱したごま油をかけるところが最大のポイント。

しっかり熱した油をかけると、ジューッという音とともに、一気に熱された香味野菜の香りが華やぐ。

香りだけでなく、ゴマ油の油分まで加わるため、少し淡白な魚である場合は物足りなさが補われることになる。

ダイナミックであり、なおかつ理に適った調理法だ。

そして、カレイの仲間は皮目に少し鄙びた風味があるので、皮ごと使って蒸す調理法なら、その風味を活かすことができるかもしれないと考えた。

蒸しガレイ、美味い

そうしてできたのがこちら!

白髪ネギが太めなのはご愛嬌

家で作った割には、なかなかに本格的な香りが立っているような気がする!

ごま油とネギ、醤油の焦げたような匂いが食欲をそそる。

いざ、実食!

ああ、これ美味いっすね...! まいりましたよ。

正直なことを言うと、蒸し終わってフライパンのふたを開けた際に、カレイの香りが一気にぶわっと広がったのがわかった段階で、美味しくなることは確信していた。

蒸すことによって、ムシガレイの柔らかな身質は締まり、旨味が凝縮され、味わいがまとまったのかもしれない。

醤油ダレの味に香味野菜と油が加わったら、美味しくならないはずなどありませんが、この濃い味わいのタレに魚の味が負けていない。

タレの味だけが美味いんじゃない。

タレと魚の味わい、その両者がちゃんと共存している。

もしかしたら、今回のムシガレイを使った場合に関しては、紹興酒を使わず、ニンニクもかなり控えめにしたのが功を奏したのかもしれない。

食べ進めていくにつれて、ほぐれたムシガレイの身が混ざり、皿の下に溜まったタレがどんどん美味しくなっていく。

白飯に合いそうな味だったが、あいにく炊いていなかったので一緒に食べることはできなかった。

でも、ごはんのお供としても優秀なのではないだろうか。

もちろん、お酒にも合うはず! (飲めなかったけど。)

清蒸も美味いし、ムシガレイも美味い

小骨をよけつつ、じっくり味わって完食。美味かったなあ。

清蒸という調理法は、ハタ類で作るイメージが強いです。

しかし、ハタ類はなかなかいいお値段なので、家でやる場合はこういう比較的安価な白身の魚で作ると面白そう。

前に作ったときはイシモチ(シログチ)や小型のメジナを使いましたが、白身で皮目に風味がある魚との相性は良さそうです。

ムシガレイは、深場の釣りでの嬉しいゲストのようなイメージがありましたが、それでも流通している場面に出くわしたことはあまり多くないような気がします。

そして、売っていたとしても、今回のようになかなかに安いです。

ひと手間でしっかり化ける美味しい魚だと思うので、見かけたら手を伸ばしてみるのも良いかもしれません。

ちなみに。

カレイの仲間は皆平たい体形をしており、体をぐるりと囲むヒレの周り、いわゆるエンガワ付近に小骨が多いのが特徴です。

この小骨が煩わしい! という場合は、軽く干してじっくり焼いたり、油で2度揚げしたり、圧力鍋で煮たりすれば、あまり気にせず食べることができます。

カレイ類は味わいが良いものが多いので、煮つけでご飯を食べたり、唐揚げでビールを飲んだり、いろいろ試してみると楽しいものですよ。

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