チゴダラは水深数mの浅場から深海まで広く生息するタラの仲間の魚で、一見するとナマズを思わせる、ユーモラスな見た目をしています。
釣りでは外道魚として扱われることもありますが、寒い時期になると肝が大きくなり、市場では「ドンコ」の名前で流通しています。
ここではチゴダラはどんな魚なのか、思い出を交えながら書きつつ、ギターにしてみたいと思います。
チゴダラはこんな魚

タラ目チゴダラ科のこの魚は、体色は紫の褐色をしており、口元に小さなヒゲを蓄えています。
口元のヒゲはタラの仲間の魚の特徴でもあり、エサを捕食する際のセンサーの役割を果たしています。
釣れたチゴダラをバケツの中に入れると、このヒゲをちょろちょろと動かし、体を軟らかく妖しくくねらせて泳ぐ姿を観察することができます。
魚をあまり知らない人にこの魚の写真を見せると、ほとんどの人が「キモい」と言います。
どことなくひょうきんで、私は大好きな魚なんですけどね...笑
水族館でチゴダラの水槽を見かけると、つい何分でもその前に居座ってしまいたくなります。
水深が数mの場所から深海まで幅広く生息する魚ですが、かつては浅海性のものを「エゾイソアイナメ」、深海性のものを「チゴダラ」と呼び、この2種は別種として考えられておりました。
しかし、その後の調査でこの2種には遺伝的差異がないことがわかり、2019年に「チゴダラ」の名に統合されることになりました。
全長は40cm程度まで成長しますが、深海性の個体の方が大きくなる傾向にあります。
チゴダラは深場のキンメダイ釣りや、防波堤からの根魚釣りの際に釣れることがよくありますが、どちらかといえば外道魚とされている魚です。
引きがあまり鋭くなく、身質は水分が多くて加熱するとボロボロとした食感になることもあって、釣りの本命となる魚からは一枚落ちるような印象を受けます。
しかし、これが寒い時期になると話は別になります。
寒い時期になるとチゴダラは体に栄養を蓄えるのですが、その際に肝臓が大きく肥大します。
この肝の旨さには筆舌しがたいものがあり、この魚の価値はこの大きな肝臓で決まるとも言えるでしょう。
特に数多く漁獲される岩手や宮城では「ドンコ」の名でスーパーにも並びますが、調理の際はこの大きな肝を活かす料理が良いでしょう。
最もポピュラーな食べ方はみそ汁です。
骨ごとぶつ切りにしたチゴダラを冷たい水に入れて煮出し、煮えたところで肝を加えて味噌を溶いたドンコ汁は実に滋味豊かで、東北の冬の味覚として親しまれております。
この味に魅了されて、浅場でのロックフィッシュ狙いの釣りの際にチゴダラを専門に狙うという、少々マニアックな釣りもあります。
この釣りについては後述します。
他には干物として加工されることもあるようです。
数年前の秋に宮城県の女川町を訪れた際は、女川駅近くの魚屋さんにチゴダラやイシモチといった魚の干物が、紐で数匹まとめた状態で吊るされて売られておりました。
5匹で500円となかなか安かったように記憶していますが、1匹35cm近くはあるチゴダラの干物は食べ応え抜群でした。
脂こそないものの、ボロボロの身質は干すことで適度に締まり、旨味が多くて良いご飯のおかずになります。
ゆっくり楽しもうと思ったのに、わりと短期間で食べきってしまったのでした。
チゴダラの思い出
一時期、防波堤の夜釣りでチゴダラを本命で狙う釣りに没頭していた時期があります。
スーパーの見切り品で買った魚の切り身をエサとして事前に用意しておき、真冬の朝3時に起きて釣り場まで原付を走らせます。
真冬の釣りなので、当然めちゃくちゃ寒いです。
洋服を重ねられるだけ重ね着して、ホッカイロを体や足のつま先に無数に貼った状態であるのにも関わらず、原付で切る風は信じられないほど寒くて、いつも釣り場に着く前に帰りたくなるのがお約束でした。
釣り場は真っ暗で、冬場のこの時間には他に釣り人の姿はありません。
こんな時に、万が一転落事故でも起こしたらおしまいなので、比較的浅くて足場の良い釣り場を選んでおりました。
簡単なミャク釣り仕掛けに13号程度のセイゴ針を用意して、魚の切り身を付けて足元に垂らしたら、あとはひたすら待つだけです。
ここからは我慢の釣りです。
竿先につけた鈴が鳴るのを待つ時間は永遠と思えるほどに長いのですが、空を見上げると澄んだ空気の中に無数の星々が浮かんでいて、幻想的だったことをよく覚えています。
寒さに耐えかねる頃に、鈴が小さくちりんと鳴ります。
これが合図です。
しっかりと食わせてから合わせると、のぺっとした重い引きをする魚の感触が伝わります。
この瞬間に、体の冷えがどこかへ消え去ります。
浅い場所の足元を狙う釣りなので、やり取りは数秒で決着がつくのですが、こうして釣りあがったチゴダラは30cmを超えるものが多く、肝もパンパンに詰まっているのでした。
寒い時期の防波堤釣りでは、あまり数を望むことができません。
しかし、サイズは大型のものが多いことから、1匹でも釣れれば大満足なのでした。
普段夜釣りをする際は、夕方頃から釣りを初めて暗くなるのを待つのですが、寒い時期だけはその逆をやっています。
その理由は明白で、太陽が昇るのを合図に帰ることができるからです。
釣りを始めるとつい熱中してしまい、時間を忘れることが常なのですが、寒い時期は体の冷えが限界になる前に少し余裕をもって帰り支度をする必要があることから、あまり遅くまで粘ることはできません。
日の出とともに強制的に終了となる早朝の釣りは、冬場には好都合なのでした。
持ち帰ったチゴダラはその日のうちに調理します。
鮮度落ちが激しい魚なので、時間を置くと内臓の周りから嫌な臭いが発生してしまいます。
鮮度さえよければ、生の肝と切り身を味噌たたきにすると最高なのですが、冷え切った体にはみそ汁が一番恋しいのでした。
簡単に作ったのにも関わらず、ドンコ汁は旨味が豊かで、これを食べるだけでその日早起きして釣りに行った価値を見出すことができるのでした。
チゴダラを使った料理の中に「さかさ焼き」というものがあります。
チゴダラの肝に味噌と卵黄、香味野菜を混ぜて叩き、それを身に塗ってから炉端で焼くという調理法です。
なかなか自宅のコンロで再現するのが難しく、家で作る際は肝のペーストはアルミカップに入れた状態で別にして焼き、食べるときに塩焼きと合わせるようにしています。
これが酒の肴としてうってつけで、米焼酎に非常に合うことから、チゴダラが数匹釣れた際の楽しみとなっております。
チゴダラをギターにすると

チゴダラはレスポールタイプにしてみました。
ジャズマスタータイプにするかどうかで最後まで悩んだのですが、この魚の旨味、特に肝を使ったドンコ汁の旨味は突き抜けているので、2基ともハムバッカーのレスポールタイプの重厚な音の方が、よりマッチするように思いました。
紫色の妖しげな色合いもまた良しです。
ひとたびステージに持っていけば、外道魚とは思えない重厚で正統派の音を響かせられるのではないでしょうか!?
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