シログチをジャガータイプにしたい!

海水魚

シログチは「イシモチ」とも呼ばれ、その名のとおり頭の中に大きな「耳石」と呼ばれる大きな石を持つ魚です。

練り物の原料として重要な魚ですが、鮮度落ちが早く、鮮魚は比較的安価で市場に出回っております。

ここではシログチはどんな魚なのか、思い出を交えながら書きつつ、ギターにしてみたいと思います。

シログチはこんな魚

この顔つき。どこか抜けている感じがかわいらしい。

スズキ目ニベ科のこの魚は、銀白色の体色をしており、30cm程度まで成長します。

砂地の海底を好み、多毛類やエビ、小魚などを捕食します。

どちらかといえば夜行性の傾向にあることや、初夏にかけて産卵のため浅場にやってくる習性があるため、蒸し暑い夏の夜に、防波堤や砂浜からの投げ釣りで狙うのが面白い魚です。

この魚の一番の特徴は、「耳石」という大きな石を頭の中に持っている点です。

この特徴から、シログチという呼び方以上に「イシモチ」という別名の方が浸透しているように思われます。

この耳石という石は、実は脊椎動物は皆持っている器官です。

耳石があることにより、生き物は体の平衡感覚や音を感じ取ることができます。

シログチの場合、それが他の魚と比べて大きく発達していることから、特別にイシモチの名がつきました。

また、浮き袋がとても大きく発達しており、この浮袋を振動させることで「グゥグゥ」と鳴くことができます。

結構大きな声で鳴くので、釣り上げて針を外す際などに驚かされます。

その身質は水分を多く含み、鮮度落ちが早いこともあって、市場に出回る鮮魚のほとんどが加熱調理用として売られています。

ただし、きちんと血抜きさえすれば本来は非常に美味しい魚で、刺身にした際の美味しさは、白身魚の中でも上位に位置していると言えます。

もちろん、市場に出回っている個体も家庭での加熱調理で充分美味しく、塩焼きは皮目に好ましい香りがあり、揚げれば弾力のある白身の美味しさを堪能することができます。

また、すり身にすると滑らかで弾力があり、練り物用の魚としても重要な種です。

私が住んでいる宮城県の特産品として「笹かまぼこ」という商品がありますが、シログチは笹かまぼこの原料の1つとして、宮城の味の一角を担っているのです。

シログチの思い出

数年前、友人と2人でお酒を飲みに行ったことがありました。

仙台の繁華街の中にひっそりと佇むそのお店は、数多くの日本酒を取り揃えていることや、その日に入荷した魚を使った美味しい料理を出してくれるということもあって、定期的に利用させていただいているお店です。

当時、私と彼はもちろん仲が良かったのですが、まだお互いに気を遣い合っている部分が大きいのが否めませんでした。

サシ飲みで緊張して会話が続かなくなるようなことはありませんが、時折少しぎこちない会話のラリーをする場面もあったように思います。

そんな中、店内のボードにかかれた本日のメニューを見ていた私は、ふと気になったメニューがあり、思わず「イシモチの唐揚げかー、うーん」と声に出して何度もつぶやいていました。

「イシモチってなんですか?」と、彼は私のつぶやきに呼応するようにそう言いました。

「そんなに有名じゃないけど、かまぼことかで知らず知らずのうちに食べていることも多い魚なんだよね」みたいなことをつらつらと話していると、店員さんがオーダーを取りにやってきました。

お酒といくつかのおつまみを頼み、「以上で」と私が言うと、彼が「いいんですか、あれは」と店内のメニューの方を指さしていました。

「あと、イシモチの唐揚げも」と最後に追加したのは、言うまでもありません。

そうして目の前に出されたイシモチの唐揚げは、想像以上のものでした。

25cm程度のものが尾頭付きの状態で丸揚げされた豪快なルックスで、表面にはとろみのあるしょうゆベースの餡がかかっておりました。

しかも、それが2匹皿に盛られて提供されています。

一瞬のテーブルの上のメイン料理になりました。

一口かぶりつくと、これが美味しいのなんのって。

これまでイシモチは塩焼きで食べたことしかなかったのですが、弾力の強い身は油との相性が良く、旨味がじわじわと舌に蓄積されていくようで、魚本来の味が表面にかかった甘辛い餡の味に全く負けていませんでした。

美味しくて思わず骨やヒレまで食べていると、「めちゃくちゃきれいに食べますね!」と彼が言いました。

「ちゃんと揚げてあるから、美味しく食べられる。でも頭を食べる時は気をつけて。石が2個入っているからね」と私が言うと、「どこでそういう情報を知るんですか?」という返答がありました。

その時、私はこう思いました。

「この人は、ただその場をつなぐためではなくて、純粋な興味によって質問をしてくれるんだ。こういう人は信頼できる」と。

私はうれしくなり、あまりマニアックになりすぎない程度にイシモチやほかの魚の話を続けたのでした。

気づいた時には、テーブルの上の大皿には、2匹分のイシモチの耳石が計4個だけしか残されておりませんでした。

素敵な夜でした。

シログチをギターにすると

白というより白銀

シログチはジャガータイプにしてみました。

ジャガーのサウンドはサステインが短く、少し潰れていながらジャキッとしている印象を受けます。

正直なことを言うと、ジャズマスタータイプにするかジャガータイプにするかでかなり迷いました。

加熱すると弾力が増し、食べ進めていくうちに舌に蓄積される旨味のあるシログチの身質は、どちらかといえば中音域が太くて粘りのあるジャズマスタータイプのサウンドを彷彿とさせます。

しかし、ジャガーにはユニークな特徴がたくさんあります。

ピックアップのオンオフやローカットのためのスイッチの多さだったり、発売当初モデルには一発でミュートサウンドを作るための機構がついていたり、見た目以上に個性的なギターだと思います。

そういう経緯もあって、大きな耳石を持ちグゥグゥと鳴くという、見た目からはわからないようなユーモラスな特性を持つシログチがジャガータイプと重なったのでした。

少し潰れた音に歪み系エフェクターを合わせてソロを弾けば、まるでシログチが歌っているようではないでしょうか!?

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