日本近海に住むカレイの仲間は30種を超えると言われていますが、マコガレイはその中の代表的な魚です。
かつては冬から春にかけて抱卵したものが好まれていましたが、鮮度管理技術が向上した現在では、身質が良くなる夏場が旬とされています。
ここではマコガレイはどんな魚なのか、思い出を交えながら書きつつ、ギターにしてみたいと思います。
マコガレイはこんな魚
カレイ目カレイ科のマコガレイは、日本に生息するカレイの代表的な種です。
大きくなると50cm程度まで成長し、本種を狙った防波堤や砂浜からの投げ釣りは人気があります。
私が暮らしていた岩手や宮城の海では、カレイの投げ釣りはアイナメ釣りと並んで人気があるように思います。
ヒラメとカレイを見分ける際によく「左ヒラメの右カレイ」という覚え方をしますが、マコガレイも例に漏れず、目が右側にあります。
「左ヒラメの右カレイ」という覚え方は、ヌマガレイなどの一部の例外を除いて当てはまりますので、思えていて損はないでしょう。
ヒラメやカレイの類いは、皆平たい体形をしています。
目がある方の体色はまるで砂底の色のようであるため、海底でじっとしていることで周りに姿を溶け込ませることができます。
その一方で、カレイの仲間は貪欲にエサを捕食することでも知られています。
マコガレイは主に多毛類やエビといった海底に生息する生き物を捕食しますが、特に冬から春にかけての産卵後は貪欲にエサを食べて大きくなります。
平たかった身が、驚くほどに肉厚になります。
そのため、肉厚になる夏場に旬を迎えることになり、この時期のマコガレイは夏が旬の美味しい白身魚として珍重されています。
旬のマコガレイの刺身の旨さは白身魚屈指の美味しさで、特に鮮度の良いものはヒラメ以上であるように思います。
身に適度な硬さがあって、後味に甘さがあり、下の奥の方でゆっくりとほどけていきます。
割烹や寿司屋などで生の白身魚を扱う際は、冬にはヒラメを、夏にはこのマコガレイを扱うことで、旬を上手に使い分けているようです。
マコガレイの思い出
釣りを始めたのは小学校の中学年頃からでしたが、高学年に上がった頃、年末に横浜にあった祖母の家に遊びに行った際に釣りをしたことがありました。
そこは「本牧海釣り施設」という場所で、関東近郊の海釣り公園としてはとても有名な場所でした。
せっかく横浜で釣りをすることができるのですから、東北には少ないカサゴか何かを釣りたいところでしたが、現実はそう甘くありません。
お昼前から釣り始めてほとんど成果なしのまま、夕方になりかけていました。
冬場の釣りはこういうことが頻繁に起こりますが、当時の私は横浜まで来てボウズ(=1匹も釣れないこと)という現実を受け入れられずにいました。
そして、途中から半分ふてくされてしまい、それまで手持ちにしていた釣り竿は、数10分もの間置き竿にして放置してしまっていました。
ここまで来たのに何も釣れないんだろうなという諦めの気持ちでいた時、何の気なしに置き竿にしていたその竿を上げてみました。
海藻か何かでも引っかかったような、ぬらりとした重さが手に伝わります。
そのままリールを巻いていると、糸の先の方で突然、海藻が暴れ出しました。
いや、海藻じゃない!?
結構いいサイズの魚がついている!?
そう思った瞬間、叫び出したいような衝動に駆られつつ、私は焦る気持ちを抑えながら変わらない速さでリールを巻き続けていました。
足元に垂らしていただけなので、勝負は一瞬で決着がつきました。
抜き上げたその魚は、マコガレイでした。
今思うとそこまで大きくなかったかもしれませんが、1匹釣れるのと釣れないのとでは雲泥の差があります。
こうして、横浜の釣行は徒労に終わらずに済みました。
おそらく、一番安堵していたのは私ではなく両親の方だったと思います。
その時のマコガレイは本当に尊く感じられたため、魚拓を取って今でも実家に飾ってあります。
その後の釣行で、その時よりも大きなマコガレイを釣ったことは幾度となくありますが、人生で最初に釣ったこのあまり大きくないマコガレイこそが、私の中での一番であることに揺らぎはありません。
マコガレイをギターにすると
マコガレイはセミアコにしてみました。
やはり、刺身にした際のあの後味の良さ、甘みがゆっくりとほどけていくような感覚は、ギターでいうところのサステインの長さを連想させます。
クリーントーンで音が適度に残る感じは、シングルコイルよりハムバッカーのギターが、そしてソリッドボディよりホロウボディのセミアコの方が近いように思います。
クリーントーンでアルペジオや細かいフレーズをを弾けば、旬のマコガレイの食味のような涼やかで優しい余韻を響かせることができるのではないでしょうか!?
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