出世魚であるブリの若魚のうち、40~60cm程度まで成長したものはイナダと呼ばれます。
イナダはブリより脂の乗りが少なく、安値に甘んじてしまっている点は否めませんが、成長とともに味わいが変わるのが出世魚の魅力。上手に食べ分けるのも楽しいものです。
ここではイナダはどんな魚なのか、思い出を交えながら書きつつ、ギターにしてみたいと思います。
イナダはこんな魚
イナダはブリの若魚で、40~60cm程度の個体のものを指します。
ブリについての基本情報はこちらに書きましたので、今回は割愛といたします。
ブリは冬にかけて脂が乗り、この時期の1mを超える個体を刺身にした場合、脂が乗りすぎるあまりしょうゆを弾くほど。
一方、イナダほどのサイズであれば脂の乗りは控えめ。
ただ、だからといって美味しくないという訳ではありません。
ブリと比べてあっさりとした身質は癖も少なく、刺身にすると適度な硬さもあって美味しく食べられるでしょう。
また、生食ならカルパッチョ、火を通すならソテーのように、油分を補うような調理法であれば物足りなさもあまり感じなくなるものです。
イナダは秋にかけて多く漁獲される魚であり、漢字は「鰍」と書きます。
(※「鰍」という字は他の魚にも読みが当てられており、イナダ以外には「カジカ」や「ドジョウ」などと読みます。)
そのため、本来であれば秋の味覚として旬を感じられる大切な魚のはずなのですが、最近は安い魚に甘んじてしまっているように思います。
ブリのページにも記載しましたが、日本で最初に海水面で養殖された魚はイナダだと言われております。
これが、養殖技術の発展とともに、近年はイナダではなくブリと呼ばれるサイズまで育てることが可能となりました。
大きな養殖ブリは脂の乗りが良く、最近の日本人の味覚に合っているように思います。
イナダがブリの若魚ということは有名なので、ブリの味わいを想像して買うと物足りなさがあるのは否めず、消費者が頭の中でブリと比較することが、イナダの価値を安値に留めてしまっている一因なのかもしれません。
「ブリの味を想像したら違った。脂がないし。美味しくない。もう買わない」という心理が消費者に働いている可能性があるとすれば、それは勝手な比較と思い込みなのであり、イナダは何も悪くないんですけれどね。
また、イナダになる前の小さなブリの若魚は「ワカシ」と呼ばれますが、このサイズになると市場に出回ることすらままならなくなります。
大漁に漁獲されることもありますが、現状では未利用魚に成り下がってしまっている場面も多いでしょう。
ただ、ブリという魚は出世魚ですので、成長とともに味わいの違いを楽しむことができる魚でもあります。
この「食べ分ける」ということを楽しむというのは、出世魚ならではの醍醐味で、なかなか面白いものです。
脂の乗った寒ブリのことは一旦忘れて、イナダは別の魚だと思って食べてみるのも良いかもしれません。
イナダの味わいを好ましく思うようになると、秋の食卓がまたひとつ楽しいものになるはずです。
イナダの思い出
イナダは現段階で安い魚に甘んじてしまっておりますが、それは反面、非常に手に入れやすくて助かる食材でもあるということです。
毎年秋になると、私は仙台朝市の魚屋さんやスーパーの鮮魚売り場でイナダを頻繁に買うことになります。
40cmを超えるサイズのものが1匹200~300円程度。
価格が安いことに加えて、イナダの良さの1つには「さばきやすさ」が挙げられるかと思います。
標準的な魚の体形をしていて、身は適度に締まっており、骨は堅すぎず、皮は引きやすい。
個人的に、刺身を作る練習には最適の魚だと思っております。
私の好物の1つに「ブリしゃぶ」というものがあります。
脂の良く乗ったブリの刺身をしゃぶしゃぶにして食べる料理ですが、さっと加熱されることで脂が浮き上がり、ポン酢で食べると後味がさっぱりとして、いくらでも食べられそう。
ただ、刺身用のブリはいいお値段がするもので...。
そんな時にイナダで代用したら、これがまあ相性バッチリ!
ポイントは完全には火を通さないことです。
こうすることで、脂の少ないイナダをパサつかせずに食べることができるのでおススメです。
中央が半生になるくらいで箸を上げ、柚子胡椒をつけてポン酢で食べる。
あっさりした味わいですが、魚らしい旨味も感じられて食べ飽きない。
独身の頃は、秋が深まって寒くなった時季に、友人を家に招いてイナダのしゃぶしゃぶを振舞ったことが何度もありました。
他の友人の家で鍋をする時は、水炊きや寄せ鍋、キムチ鍋、豆乳鍋などがメインでしたので、メイン食材は鶏肉や豚肉が中心となります。
しゃぶしゃぶをすることもありますが、その場合は当然のように魚ではなくお肉を使います。
私の家で鍋をやる際はお肉が入らないことばかりでしたが、本心でどう思われていたかはさておき、皆物珍しそうに、そして美味しそうに食べてくれていたようでした。
お肉と違って、そのまま刺身の状態で食べても問題ないのも良いところ。
数人で食べるということもあって、イナダも人数分+αの数を購入しますが、結構あっという間になくなるんですよね。
皆様もぜひ、イナダのしゃぶしゃぶをやってみていただければ!
イナダをギターにすると
イナダはレスポールジュニアタイプにしてみました。
ブリをレスポールタイプにしているため、それより若い個体のイナダには「ジュニア」をつけよう! と言ったらそれまでなのですが...笑
レスポールジュニアは、シングルコイルのピックアップ1基のみ搭載というシンプルな作りをしているため、操作がシンプルで、エレキギターの中では軽量であることも魅力です。
そのサウンドはレスポールとは全く別物で、エッジの効いたパワフルで鋭いトーンが特徴的。
イナダは夏~秋口になると岸近くを回遊し、防波堤やサーフからのルアー釣りで狙うことができますが、針掛かりした後のパワフルなファイトは、まさにレスポールジュニアのサウンドさながら。
ブリ(レスポールタイプ)とは全く違った持ち味、良さがあるというところも、きちんとした差別化を図るという意味では重要かと思います。
ギターボーカルとしてステージに立ち、パワフルなロックを奏でるのが良いのではないでしょうか!?
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