キチジは北国の深い海に生息し、赤く鮮やかな色合いがとりわけ目を引く魚です。
キンキの名で流通することが多く、脂の乗りの良さから、大型の個体は1kgで1万円を超えることも。
ここではキチジはどんな魚なのか、思い出を交えながら書きつつ、ギターにしてみたいと思います。
キチジはこんな魚
スズキ目キチジ科のこの魚は、大きくなると30cmほどまで成長します。
北国の冷たい深海に生息し、エビやオキアミといった甲殻類や小魚などを主に捕食しています。
鮮やかな赤い体色がよく目を引く魚で、背ビレの後方に黒い斑紋があるのも特徴的。
この赤い体色は、エビ類を捕食することによるものと考えられています。
エビ類にはアスタキサンチンという色素が含まれておりますが、この色素は体内に入った際、または加熱した際に赤く色を変える性質を持ちます。
天然のマダイが赤い理由と同じですね。
また、このアスタキサンチンという色素は抗酸化力が非常に高く、ガンを抑制する作用があるとも言われています。
この魚は、キチジという名前よりも、「キンキ」という呼び名の方が有名でしょう。
「キンキの煮付け」と言えば、和食屋さんで人気のメニューですね。
脂の乗りが良く、甘辛い煮汁と合わさると相性抜群で、ごはんのお供として最上級の味わい。
大型の個体は非常に高値で取引されており、1kg1万円を超えることも珍しくありませんが、小型のものはスーパーでもおなじみの魚です。
私は大きなものを食べたことがいまだにありませんが、小型でも味わいが良いのがうれしいところ。
特別なときに食べたい、そんな魚の1つです。
キチジの思い出
数年前の冬に、人生で初めて函館に行く機会がありました。
新幹線も開通しているので、北海道へは以前と比べて行きやすくなったように思います。
函館に行ったらお寿司を絶対に食べたい! と思い、少し思案して、あえて回転寿司に行くことにしました。
しかし、そこはただの回転寿司ではなく、北海道の魚を手軽に食べられることで有名なお店で、地元の方や観光客で大変ににぎわっておりました。
マグロやサーモンのような回転寿司ではおなじみのネタも回っていますが、ここはやはり北海道ならではの魚を食べたいところ。
ニシン、ホッケ、水草ガレイ。美味いなあ。
スルメイカも、普段口にするものより肉厚で美味しく感じられる。
北海道の魚として有名なハッカク(トクビレ)も回っていましたが、一皿500円を超えています。
かなり迷いましたが、思い切って手に取ると、これが至福の味。
もう一皿食べたい気持ちをなんとか抑えて、他には何があるのか、店内の貼り紙にくまなく目を配ります。
すると。
「キンキ:時価」と書かれた紙が貼られているのを見つけました。
回転寿司で「時価」という表記を見たのは初めてのことです。
食べたい。でも高いんだろうな。それはわかってる。
せめて今日はいくらなのかだけでも聞いてみようかな? 1000円? 1500円? それ以上?
でも、それを聞いたうえで注文しないっていうのはありなのか? なしだよな? かっこ悪いし。
そんな思いを巡らせながら、結局注文しないまま、会計を済ませてしまったのでした。
このことをいまだに後悔している自分がいます。
もちろん食べたかったのもあるし、美しい握りを直接見てみたかったのもありますが、一番は値段を聞いてびっくりしたかったというのが本音。
「うわー、すごいですね! 高級!」って言いながら、のけぞるくらいのリアクションを取りつつ、注文するかどうかを本気で迷ってみたかった。
そういうのが旅行の醍醐味なんですよね、本当は。
もったいないことをしたな、と思っているので、次に函館に行った際は思い切って値段を聞いてみたいと思っています。
小型のキチジは、自宅で何度かさばいたことがあります。
カサゴ亜目の魚には背ビレが鋭い種が多いのですが、キチジもその例に漏れず、さばく際には気をつけなくてはいけません。
ですが、完全に油断して、その鋭利な背びれを指に突き刺してしまったことがありました。
魚にはヒレに毒を持つ種も多く、同じカサゴ亜目のミノカサゴやオコゼなどは特に強い毒が備わっており、刺されるとひどく痛むといいます。
キチジのヒレに毒があるということは聞いたことがありませんでしたが、刺されたときは幹部が青紫色に腫れ、鈍く尾を引くような痛みがしばらく続きました。
あれはなんだったのか。
毒だったのか、それは今となっては判然としませんが、それからというもの、カサゴ亜目の魚をさばくときは少し慎重になりました。
キチジはもちろん、ソイやメバルのような魚に対しても慎重になる自分がいます。
「こんな小さな魚にびびってるんだな」と思うと、なんだか笑ってしまいそうになりますね。
キチジをギターにすると
キチジはジャズマスタータイプにしてみました。
キチジには脂の美味しさがありますが、それと同等に、身質の良さや長く持続する旨味の強さが光っていると、個人的には思っています。
この、ゴーンと伸びるような旨味が、ジャズマスタータイプが持つ太い中音域の感じを連想させました。
少し歪ませて、空間系エフェクターも適度にかけて、浮遊感のあるサウンドで弾くと深海の感じが出るように思います。
時にはフィードバック奏法なども取り入れるのも良いかもしれません!?
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