その名のとおり、カワハギの顔を長く伸ばしたような見た目のウマヅラハギ。
一時期は大漁貧乏になるほど漁獲されたようですが、現在ではやや高値が付く魚となっています。
ここではウマヅラハギはどんな魚なのか、思い出を交えながら書きつつ、ギターにしてみたいと思います。
ウマヅラハギはこんな魚
フグ目カワハギ科のこの魚は、大きくなると40cm程度まで成長します。
この魚の見た目における最大の特徴は、なんといってもその長い顔。
名前に「馬面」が入るのは、なんだか悪口のような気もしますが、カワハギを長く伸ばしたような見た目は非常に特徴的です。
他にも、青みがかったヒレや、目の上にある大きなトゲの黄色も目を引くユーモラスな魚です。
また、他のカワハギ類と同様、口は小さなおちょぼ口で、貝類や甲殻類をついばむようにして捕食します。
釣りではあまり専門に狙われることが少なく、また、釣り針のエサを掠め取るのが上手い「エサ取り」の一種ですが、釣り人からはあまり嫌われておらず、むしろ好意的に思われている印象があります。
それもそのはず、この魚はカワハギの仲間ということもあって、非常に食味に優れているのです。
特に秋から冬にかけての個体は肝臓が肥大しており、薄造りの刺身を肝と一緒に食べるととても美味しいものです。
スーパーなどでは、頭と内臓と皮を取り除いたむき身の状態で売られているのを目にすることもあります。
肝がなくとも、身だけで充分に美味しく食べることができるので、一度手に取ってみるのもいいかもしれません。
個人的には、このむき身を使って作る「ホイル焼き」がおススメです。
アルミホイルを適宜の大きさに切り、ウマヅラハギを乗せ、ネギやショウガといった薬味と一緒に味噌か醤油で味付けして、好みの野菜を入れてから包んでフライパンで焼く。
これだけで絶品のおかずになりますので、ご参考までにお知らせします。
ウマヅラハギの思い出
この魚、鮮度が良ければなかなかの高値で売られているのを目にします。
やはり、肝の美味しさ、食感の良い刺身の旨さが認知され始めたのでしょう。
ただ、以前は大漁貧乏になるほど漁獲されていた時期もあり、カワハギの代用の安価な魚として扱われていたこともあるようです。
盛岡に住んでいた頃の思い出の一つに、自宅からそれほど離れていない場所で開かれていた朝市の風景があります。
週末の早朝に、母と一緒に自転車でそこまで向かうのが習慣でした。
せっかくの休みに早く起こされて向かうわけですから、子供の私にとっては「なんでこんな時間から買い物なんて」という気持ちが多少ありました。
ただ、母はその辺の扱いが上手く、私が退屈しないように、この時だけは買い食いを許してくれました。
市場のちょうど折り返し付近にあるお店で、湯せんで温められたコーヒー牛乳を買ってもらうのが好きでした。
また、買い物ついでに好物の唐揚げやあんこ餅を買ってくれたりするので、それにまんまとつられて、私はいつも眠い目をこすりながら母の後ろを着いて行くのでした。
朝市には気のいいおじちゃん、おばちゃんがたくさんおりまして、子供の私は積極的に話しかけられます。
ただ、私は人見知りな子供でしたので(※大人になった今もです)、見ず知らずの年長者に話しかけれるとどうしていいのかわからなくなり、ついモジモジしてしまうの常でした。
ただ、その中でも少しだけ心を許しているおじちゃんがいました。
その方は乾物屋のおじちゃんでした。
このおじちゃんは必要以上に話しかけてこず、商品を見ているときは黙って見守ってくれるような感じがあったので、私はその距離感を心地良く感じておりました。
この乾物屋さんで、よく「かわはぎロール」を買ってもらっていました。
お酒のおつまみのようなものなのですが、甘辛の味付けと噛みしめる度に増す旨味が好みで、母によく買ってもらっていたのでした。
この「かわはぎロール」に使われていたのがウマヅラハギでした。
「かわはぎ」ロールなのに、使っているのはウマヅラハギだということが妙に印象に残っています。
あれから10数年が経って、私も成人してお酒を飲めるようになりました。
それ以降、かわはぎロールと時折買い求めると、ウマヅラハギではなくカワハギのみが使われていることも多いことに気づかされます。
ウマヅラハギの漁獲量が落ち着いたのも、その一因なのでしょうか。
かわはぎロールを肴に一杯やっていると、幼少期の朝市での光景と、あのおじちゃんが寒い日によく口にしていた「さみぃ(寒い)から手ぇでもあぶってけ(ストーブで温まっていけ)」という言葉が鮮やかに蘇り、自分の人生も結構遠くまで来たものだなと、なんだかしみじみと感じられます。
ウマヅラハギをギターにすると
ウマヅラハギはジャズマスタータイプにしてみました。
ジャズマスターの良さには、中音の太さや音質にキレがあるといった要素がありますが、ウマヅラハギが持つズンとした旨味と歯切れの良い身質はそれを連想させます。
あまり音を潰しすぎず、クランチくらいにとどめて弾くのが一番合っているように思います。
バッキングプレイをすれば、バンドサウンドを底上げするような強さを発揮するのではないでしょうか!?
コメント